今こそ学ぶ 日本人と米国の歴史
世界中から移民が集まる米国は日本と異なり、まだまだ歴史が浅い若い国だ。日本の先駆者たちが海をわたり、文化や社会の違いを学び、日本の発展に貢献した。しかし私たちは、その歴史をほとんど知らないまま米国に住んでいる。今号では、そういった歴史の一部を紹介していく。
トランプに弾劾調査
最大の危機到来か
トランプ政権に突然、「最大の危機」が訪れた。アメリカ史上初めて、弾劾され、罷免される大統領になるかもしれないという「ウクライナゲート」だ。
これまで、交際していたポルノ女優への口止め料支払いや、ロシア政府と共謀して大統領選挙を優位に展開したとされる「ロシアゲート」などを、トランプ氏が直接関わっていないなどとして乗り越えてきた。しかし、今回は本人が関わっていることが最初から分かっている。
発端は、内部告発者の文書。トランプ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の電話会談の内容に対する懸念を示していた。内容は今年7月25日、トランプ氏がゼレンスキー大統領に対し、電話で、20年大統領選の民主党有力候補で前副大統領のジョー・バイデン氏と息子のハンター氏について、調査を依頼したという。トランプ氏は電話会談に先立ち、自らの権限でウクライナへの軍事支援の予算を打ち切っていた。
つまり、トランプ氏が20年に再選するために、ライバル候補を窮地におとしめようとした疑いがある。外国に対して、特権を乱用して支援を凍結し、自分に有利な依頼をした可能性がある。
国連総会にてスピーチを行うトランプ大統領(9月24日撮影)
調査の見通し立つ
弾劾手続きとは
内部告発書が議会に渡ると、民主党が多数派の下院で弾劾手続きへの動きが加速した。
ナンシー・ペロシ下院議長が9月24日、正式に、弾劾のための調査をすると発表。司法、情報特別など六つの委員会にそれぞれ調査を指示したという。
26日には、内部告発書が公開され、電話会談内容をホワイトハウスが隠ぺいしようとした事実も明らかになった。
27日には、下院で過半数を超える225人の議員が弾劾調査を支持する見通しがたった。その後、内部告発者の身元を隠しながら、議会で証言を得ることも確実となった。
一方、トランプ氏は9月25日、記者団に対し、「私の電話会談は完璧だった。ウクライナ大統領は、自身に対するいかなる圧力もなかった」と語った。
弾劾というのは、アメリカ合衆国憲法で定められた手続きで、大統領が「反逆罪、収賄罪、その他の重大な罪または軽罪」を犯したとされる場合に実施される。下院が、一般の犯罪では起訴に当たる弾劾訴追を決議し、上院が大統領に対する弾劾裁判の後、3分の2以上の多数で有罪を確定すれば、大統領を罷免できる。大統領が罷免されれば、副大統領が大統領に昇格する。
過去には、ジョンソン(1868年)とクリントン(98年)の両大統領が、下院で弾劾訴追されたが、上院での採決が3分の2に満たず、無罪となり任期を全うした。74年には、ウオーターゲート事件への関与を隠ぺいしようとしたニクソン大統領が、下院での弾劾訴追と、上院で有罪となる見通しが明らかになった際、辞任した。
共和党有利の上院
大統領選への影響
今後は下院が弾劾調査を進めて、一つかあるいは複数の訴因を特定し、弾劾決議案を本会議にかける。各委員会が、訴因を突き止め、決議案となるまでどのくらいの時間がかかるのかは不透明だ。
また、下院で弾劾が決議された後、上院では、連邦最高裁判事が裁判長となり、100人の上院議員が陪審員となって、証人喚問や証拠提出を行う。
ただ、上院は共和党が多数派で53人、民主党が45人、無党派が2人であるため、有罪可決に必要な3分の2、つまり67票の獲得のためには、民主党は20人もの共和党議員を寝返らせなければならないため、トランプ氏を有罪にするには、ハードルが高い。
しかし、共和党議員のトランプ氏支持を鈍らせるほどの重大な訴因が集まるか、また有権者の弾劾支持の声が保守派でも高まるかどうかが、注目される。
下院が弾劾手続きに入ったというだけでも、アメリカ社会や2020年の大統領選挙に対する影響は大きい。選挙でトランプ氏は、バイデン氏を叩くだろうし、民主党も必死で戦うだろう。
弾劾手続きは、トランプ氏への不信を高め、世界にも影響が及ぶだろう。
津山恵子
ジャーナリスト。
「アエラ」などに、ニューヨーク発で、米社会、経済について執筆。
フェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに単独インタビュー。
近書に「教育超格差大国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市平和特派員。元共同通信社記者。
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