古くて新しい、とっておきのブルックリンへ

ブルックリン産ウイスキー (古くて新しい、とっておきのブルックリンへ 042)

ブルックリンのガイドブックの著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。

今週はネイビーヤードにある「Kings County Distillery」です。



Kings County Distillery 
(キングス・カウンティ・ディスティラリー)

地ビール、ワイン、日本酒など、ブルックリンではさまざまな酒類が生産されています。中でも勢いがあるのはウイスキー。ニューヨーク州内には15〜20のスピリッツ蒸溜所があり、うち3分の1(もしくは4分の1)がウイスキー蒸溜所といわれるほど人気です。


好きが高じて始めた

Kings County Distillery」は、ネイビーヤードの2カ所に分かれています。まず入口ゲートの、元守衛室をリノベートした建物におしゃれなテースティングルームがあり、そこから少し入った場所に蒸溜所が。

蒸溜所は、築119年のペイマスタービルの1階。2階はツアー後に試飲ができるテースティングスペース他、ウイスキーの熟成室、ウイスキーやTシャツなどのグッズ販売スペース。

「僕は(バーボンで有名な)ケンタッキー州で生まれ育ったので、ウイスキーが大好きなのです」と言うのは、創業者のコリン・スポーマンさん。好きが高じて、自宅で「趣味」として手作りまで始めてしまったと言います。

作り方は旅先で学んだり本で調べたりして、2008年にスタート、10年に共同創業者のデービッドさんと創業。初めは東ウィリアムズバーグ地区に蒸溜所を作り、今の場所に移ったのはその2年後です。

 

ネイビーヤードの守衛室だった建物をリノベートした、ウイスキー蒸溜所のテースティングルーム

 

蒸溜所の2階にある熟成室。ブッシュウィックにも熟成室がある


フュージョンに挑戦

ここのウイスキーの原材料の70%は、ローカル産のものだそう。

「僕らが作っているのは、ケンタッキーウイスキー、ライウイスキー、シングルモルト、スコッチなどの要素を織り交ぜたオリジナル。文化がミックスしたこの街のような、フュージョンウイスキーとも呼べるものです」

国内20州のバーやリテールストアに卸し、市内では「Brandy Library」、「Noorman’s Kil」、「Wythe Hotel」の屋上バーなどで飲めます。また日本やカナダなど5カ国でも流通。

いくつかテースティングしてみましたが、私が一番飲みやすかったのは、ピーテッドバーボン(ボトルは大中小あり、23ドル〜)。好みもあるのでテースティングして、自分だけのお気に入りに出合ってください。

 

ピーテッドバーボン(ボトルは大中小あり、23ドル〜)。原材料の大麦麦芽とニューヨーク州産のコーン

 

創業者のコリンさん(左)とCOOのギャビーさん

 

All Photos © Kasumi Abe

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