サミュエル・&#
日本語であれ英語であれ、子供が身に付ける「会話力」は、頼りなく弱々しいものです。子供に確固たる言葉の力を与えるには、言葉が「話せる」だけでは不十分です。言葉は「読み書き」を身に付けることで、一生失われることのない質の高い能力を定着させていきます。
一般的に「読み書き」は、小学校で学ぶものと考えられています。しかし、二つの言語を身に付けるバイリンガルたちは、小学校まで待ってはいられません。時間にゆとりがあり、また、子供の学習に対するモチベーションが高い幼児期に、読み書き教育を始めることが理想です。
日本語が先か、英語が先か?
「日本語と英語、読み書きを教えるのはどっちが先か?」という質問を受けることがあります。未就学児の場合、母親が日本人の場合、日本語からスタートするのがスムーズです。国際結婚家庭であれば、日本語は母親、英語は父親と役割分担して二言語を同時に教えることも可能です。
幼児期の子供にとって文字を覚えることは「お遊び」です。大好きなお母さんと遊びながら文字を覚えることができます。文字ブロック、文字カード、文字チャート、絵本などを活用して、楽しく文字を教えてあげましょう。
文字の練習は1日5分〜10分で十分。毎日文字に触れていると、子供はあっという間にひらがなが読めるようになります。さらに、文字を教える原則は「読みが先」です。筆圧が弱い幼児に書くことを強要すると、文字嫌いなるので注意しましょう。
日本へ帰国する場合
海外駐在で数年間だけ海外で過ごす場合、文字指導の優先順位が変わります。「英語のリーディング」を集中的に教えましょう。海外滞在中に英語のリーディング力を身に付けることができれば、日本帰国後も、読書を通じて英語力を維持・向上させていくことができます。
幼児の場合も同じです。海外滞在中に身に付けた英語力を日本で失わせないためには、「英語を読む力」が必要です。幼児期を海外で過ごし、英語ペラペラだった子供が、日本に帰国した途端英語を忘れてしまった! という話は、誰もが聞いたことがあると思います。これを防ぐには「英語のリーディング」を育てることが必要です。
日本語については、家庭環境を整えることで維持できます。学童期の子供であれば日本語のマンガや本を読ませる。未就学児であれば、日本語のアニメやテレビ番組を見せていれば、日本語が極端に弱くなる心配はありません。
海外永住家庭の場合
海外永住、あるいは子供が海外で学校教育を受ける場合、「日本語の読み書き」を優先して教えてください。現地校生活が長くなるにつれ、日本語力は衰えていくのが普通です。幼児期から小学校低学年に掛けて「日本語力の貯金」をしておきましょう。
日本語学習を成功させる秘訣は「細く長く」です。子供の「自信」に影響する現地校の勉強を重視しつつ、日本語もコツコツ継続できるように励ましてあげてください。