第10回 起業の方法と流れ

Start-Up

起業に適切なビザ
会社形態選びも重要

前回までは、あなたの新しい商品やサービスのアイデアを着想してから商品を売り出すまでの、スタートアッププロセスを解説しました。今回は、アメリカで会社を設立する時に知っておくべきポイントと流れを、自身の経験をもとに解説します。

まずは日本人がアメリカで起業する際は、あなたがアメリカで起業することができるビザを持っているかどうか(あるいは、今後取れるのか)が、重要なポイントです。もし会社の設立はできても、就労ビザがなければお給料をもらうことができません。

ビザの種類や取得方法は、弁護士など専門家にお尋ねすることをお勧めします。私自身は、起業時にビザの中で最も自由度が高い永住権、グリーンカードを持っていました。

代表的な会社形態

ビザの次に、あなたの会社の形態を決めましょう。アメリカの会社の形態として代表的なものとして、①C Corporation(シーコーポレーション)、②S Corporation(エスコーポレーション)、③ LLC(リミテッド・ライアビリティー・カンパニー)、④Partnership(パートナーシップ)といった種類があります。

会社の形態により、税金や責任などが異なりますので、専門家に相談することをお勧めします。個人で起業する場合は、LLCが有限責任であり最もリスクが少なく、二重課税も回避できるためアメリカの個人経営者の間で人気となっています。

登録手続きを忘れずに

また、アメリカで起業する際には、起業する州に対して、自身の会社の情報を登録しなければなりません。州への登記とIRS(アメリカ国税庁)への申告は、オンラインで簡単に外部委託できます。

私も使用しているオンラインサービス「Legal Zoom(リーガル・ズーム)」は費用が非常に安く、そしてとてもシンプルなサービスです。サービスの開始の際に会社名、住所、事業形態などの必要な情報を聞かれますので、それらを入力すれば、あとは全ての登録申請作業を代行してくれます。

無事に州に登録がされ、IRSに書類が受理されたら、IRSからEIN(Employer Identification Number)と呼ばれる税金納付番号が付与されます。

州にも届け出を出してIRSからEINを取得したら、会社の専用の銀行口座を開いておくようにしましょう。個人の銀行口座と別にすることで、あなたの会社の税金の支払いや今後発生するさまざまなお金まわりの管理ができます。

銀行口座にはビジネスアカウントという種類がありますので、各銀行のサービス内容や手数料を比較してください。

手続きの際には、会社の登記承認の紙、EINの情報などが聞かれますので、必要書類一式を持参してください。

準備や相談が大切

コストや時間をなるべく抑えたい起業時には、今回紹介したようなツールやクラウドサービスを上手に取り入れて効率的な体制を作り上げることがポイントと言えるでしょう。

起業では、ビザの取得や会社の設立の期間や費用を事前に考えて、専門家と相談しながら手続きを進めることがポイントと言えるでしょう。

日本と比べてアメリカで起業すると、会社の形態によって個人を守りやすい仕組みであり、経営者にとってのメリットが大きいです。その反面、日本人がアメリカで起業する際に必要となるビザの取得は、多くの起業家の壁になっているのも現実です。

次回は、あなたの商品やサービスの販売(ローンチ)とアフターケア(ポストローンチ)に関する手法や具体例を解説します。

【スタートアップに関する用語】

シーコーポレーション (C Corporation)
一般的な株式会社。ある一定のサイズや上場企業は全てこの形態。投資を受けやすい反面、規則や規制が厳しくなる。
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エスコーポレーション(S Corporation)
株式会社だが、法人税と所得税の二重課税免除の措置がある形態。外国人が株主になれないなどの制限あり。
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パートナーシップ(Partnership)
2人以上、もしくは二つ以上の会社で合弁会社を設立する際の進出形態。
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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co

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