第6回 ビジネスモデル

Start-Up既存のモデル参考に
新たな方法生み出す

これまでのコラムでは、あなたの製品やサービスの調査や検証をしてきました。

今回はいよいよ、あなたの製品やサービスを販売、提供して、もうけを生み出すための仕組み、「ビジネスモデル」について考えます。まずは具体例を示しながら解説しましょう。

ビジネスモデルは、さまざまな定義がなされるので、「ビジネスモデル」と一言で言っても、かなり抽象的な意味となってしまいます。分かりやすい言葉で解説すると「ビジネスとしてお金を継続的に稼ぐ仕組み」だと表現することができます。この仕組みの性能の良し悪しが、あなたの新しく始める事業の成功、失敗の大きな要因となります。

ビジネスモデル
重要な構築要素

ビジネスモデルを構築するためには、以下のような項目を検討する必要があります。

①WHO=顧客②WHAT=提供価値③HOW=プロセス④WHY=収益構造-などです。

当コラムの第3回で行ったマーケット調査の結果や分析内容も、ここで役立たせることができます。

ビジネスモデルを構築する上で、お薦めのツールは、「ビジネスモデル・キャンバス(Business Model Canvas)」です。

ビジネスモデル・キャンバスは、決められた枠組みの中で、迅速に効率良くアイデアを出したり、整理したりすることができるツールです。前記の四つの検討項目を含めた、合計九つの要素をA4サイズの用紙1枚の紙に落とし込み、視覚的にビジネスモデルを把握できるのがメリットとなります。

また、スタートアップ向けに設計されている「リーンキャンバス」というものもあります。

シンプルな物販から
広告、継続モデルまで

次に、さまざまなビジネスモデルについて、事例を参考にしながらいくつかパターンを紹介します。

最もシンプルなモデルとしては、「物販モデル」が挙げられます。このモデルは、個人もしくは企業が商品やサービスを企画、開発、製造し、消費者に対して提供することで対価であるお金を受け取るビジネスモデルです。メーカーや農家などが自分で商品を生産し、販売する方法もこのモデルに入ります。

新聞やインターネットのニュースサイトなどのメディアに、広告を掲載させることで広告料金を得るのが「広告モデル」です。広告モデルは、企業などが広告を出せる場所を提供するモデルとなるため、場所の価値、利用者の人数などがポイントとなります。

最近、オンラインでは月額定額制のサブスクリプションビジネス(継続課金)で提供されるサービスが増えています。代表的な例はネットフリックスです。定期的に商品を使い続けてもらい、売り上げを確実に上げていくため「継続課金モデル」と呼ばれます。しかしこのモデルの場合、顧客を獲得したからといって、満足しなければ解約されてしまうため、リスクが高くなります。顧客へのフォローを丁寧に行い、顧客満足度向上に取り組むことがこのモデルを成功させる重要な要素となります。

紹介した以外にも数々のモデルが存在します。既存のモデルを参考することも重要ですが、全く新しいまたは既存のモデルに付加価値が付いた考えることが成功への秘けつです。

次回は、あなたの商品やサービスを顧客に向けて提供する第一歩のMVP(Minimum Viable Product)について解説します。

【スタートアップに関する用語】

提供価値(Value Propositions)
「原型」という意味を持ち、デモンストレーションや技術の検証、コンペティションへの出品などを目的とした量産前の試作のこと。
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デザイン思考(Design Thinking)
顧客に対して提供されている、製品やサービスや人材やイメージなどの価値または値打ち。
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チャンネル(Channels)
顧客にビジネスの価値を提供する経路、またはその価値を宣伝する経路。
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顧客セグメント(Customer Segment)
どんなニーズを持った人に売るのか、地域は、性別は、年齢は、などさまざまな要素によるセグメンテーション
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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co

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