今年9月にアラ&
製品・サービス具体化
改善がしやすいツール
前回、マーケット調査をテーマに取り上げ、解説しました。今回は、あなたが作ろうとしている製品やサービスの「プロトタイプ(試作モデル)」を作り、検証するプロセスについて考えてみましょう。
プロトタイプを作ることで、あなたが考えている製品やサービスのアイデアはより具体化します。また、プロトタイプが存在することで、ユーザーへの説明や、社内で議論する際にも役に立ちます。
プロトタイプ作成でのポイントになるのは、「早いスピードで作れる」こと、そして「すぐ改善できる」ものにするということです。
作るのに手間が掛かる、完成度の高いものより、可能な限り単純で、テスター(検査や試験使用をする人)が、改善案をフィードバックしやすいものがベターです。簡単な絵や設計図、物を使ったロールプレイング・アクションもプロトタイプと呼べます。
今回紹介する例やツールの共通点はフェイクですが、きちんと動いているように見えるサービスや商品のプロトタイプを短時間で作ることです。これは「デザイン思考」などで「オズの魔法使い」とも呼ばれているユーザー目線の評価を重視している方式です。
プロトタイプは
目的でさまざま
プロトタイプの例に、「ストーリーボード型」があります。4コマ漫画のように一連の流れをイラストとして書き、それを参考にしてロールプレイをします。
ストーリーボードのコマに「タスク」、「写真(イラスト)」、「アクティビティーシナリオ」を示し、時系列順に並べます。この方法は、「スーパーでの買い物」、「飛行機に乗る」など日常の体験に関わるサービスや商品についてのアイデアで、お勧めです。
また、ウェブやモバイルアプリのプロトタイプには、画面などのイメージを印刷し、切ったり、文字を書き込んだりする「ペーパープロト式」があります。数多くの画面を試作できるのが利点です。
作成後にはインタラクティブ・プロトタイプ・ツールのインビジョン(InVision)などに簡単に移行することも可能です。
最後に、人形や人を使った「模型式」により、人形を使ってアイデアのロールプレイをする方法もあります。あなたの身近にある段ボールや紙などを切り張りして、想像する場を表現しましょう。
例えば買い物リストのアプリのプロトタイプを作成した際には、ユーザーがどのようにアプリを見つけて、アプリのダウンロード、ユーザー登録、アプリの使用方法まで一連の流れの画面案をイラストに描き、そこから必要な画面をインビジョンに移行したプロトタイプからユーザーからのフィードバックを収集しました。この例での難しい点はアプリの外でのユーザーの体験をうまく仮定する点と、フェイクですが、きちんと動いているように見えるプロトタイプを作ることが大切です。
試作とフィードバック
改善繰り返すプロセス
プロトタイプ作成のメリットは、あなたの製品・サービスのアイデアに、ユーザーが実際に反応できることです。そのようなユーザーのフィードバックは、社内やチームのディスカッションに活用したり、その時点までに気付けなかった問題に改善策を打ち立てる材料になったりします。
必要に応じて①プロトタイプ作成、②フィードバック収集、③製品・サービスの改善というプロセスを繰り返しましょう。
次回は、あなたのビジネスを効率的に管理するための「プロジェクト管理」について解説します。
プロトタイプ (Prototype)
「原型」という意味を持ち、デモンストレーションや技術の検証、コンペティションへの出品などを目的とした量産前の試作のこと。
デザイン思考(Design Thinking)
デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉で、問題解決のプロセスとして使われている。
インビジョン(InVision)
アプリやホームページのプロトタイピングを複数人で効率的に作成することができるウェブサービス。
コラム執筆者の奥西正人さんが代表を務めるRising Startupsは、ジャパンソサエティと共催で10月11日(木)午前10時から午後2時まで、「IF Conference 2018」を開催する。テーマは「日本×AI・ブロックチェーン」。今回は日米のAI、ブロックチェーン業界のリーダーらがセミナーを行う。入場料は一般80ドル。詳細はwww.ifconference.comまで。
奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表
2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co