第3回 マーケット調査と顧客の「発見」

Start-Up事前の定量・定性調査
コストと時間最小限に

前回のコラムで発想されたアイデアの可能性を、マーケット調査を通してより高めましょう。調査を行うことで、早い段階において顧客を知り、さらに顧客に合った商品・サービスを作ることが大切です。

意見聞く手法と
外部データの調査

後から商品・サービスを変更することは、あなたの資金や時間を無駄にする結果になりかねません。

まずはあなたの考えるマーケットの1次資料調査(Primary Research)から始めてみましょう。この調査はあなたのアイデアのためのオリジナルの調査で、自分自身で行ったり、またはフリーランサーなどに外注したりすることも可能です。まずあなたの疑問点を自分自身に問い掛けましょう。

例えば「誰がこの商品を買うのか?」「なぜ顧客はこの商品を買いたいのか?」「顧客はこの商品にお金を出すのか?」「既存のどの商品と競争相手になるのか?」などの疑問を、この調査で聞き出します。

定量の調査手法としては、アンケートやインタビューがあります。どちらもあなたが考える顧客に対して行い、実際に会って行うか、オンラインでも行うことが可能です。

オンラインに関しては無料アンケートツール、「サーベイモンキー」やソーシャルメディアのフェイスブック、ツイッターなどを活用してください。

定性の調査手法ではフォーカスグループがあります。あなたが考える顧客を一つの場所に招待し、お茶や食事を提供し気軽に話ができる環境を作って行うことをお勧めします。

1次資料調査の後、または同時に既存の外部データの情報を調べる2次資料調査(Secondary Research)を行いましょう。新しく調査を行う1次資料調査と比べ、手間やコスト、時間がかからないというメリットがあります。

しかし、あなたのビジネスとは異なる目的を達成するために作成された既存の情報を探すことになるので、欲しいデータが見つからないことや、近いデータがあったとしても、希望と完全に一致するとは限りません。

まずは身近な図書館やインターネットでの調査から始めましょう。アメリカの図書館にはたくさんのリポートや統計などが保存されており、具体的な資料の発見は図書館員がサポートしてくれます。

インターネットはあなたのコンピューターからグーグル、Quora、Redditなどで検索が可能です。

データの分析が
消費者にメリット

調査でたくさんのデータを得たら、あなたの考えるビジネスに対して分析することが必要です。分析内容は商品・サービスにより異なりますが、一般的には市場規模、競争、価格分析などが含まれます。

分析の代表的な方法の一つが「SWOT分析」などがあります。分析を行えば、あなたが取るべき戦略オプションがいくつかに絞り込まれます。

調査と分析を行うことにより、あなたの商品・サービスの享受者である顧客(消費者など)側からみれば、マーケティングリサーチが行われることで、自らの望む商品・サービスを利用することができるようになります。また、欲しくない、必要でない商品などの開発による無駄なコストが価格に転嫁されることを防ぐことができます。

この時点であなたの商品・サービスを変更(ピボット)し、場合によっては捨てることあります。次回は商品・サービスの開発前のテスト方法に関して解説します。

【スタートアップに関する用語】

フォーカスグループ
ある製品、サービス、コンセプト、宣伝、アイデア、パッケージについて人間の集団に考えを質問する手法。1対1のインタビューよりも、フォーカスグループの方がより自然な意見を収集できるという利点がある。
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SWOT分析
強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価するのに用いられる戦略計画ツール。自社を取り巻く環境による影響と、それに対する自社の現状を分析しながら、自社のビジネス機会を発見できる。。
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ピボット
英語での「pivot」は動詞で「旋回する」という意味。その意味からビジネスにおいて、「ピボット」は、事業の「方向転換」「方針変更」を表している。
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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co

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