第2回 アイデア発想

Start-Up良いアイデア発想 問題見つけること

前回のテーマは起業のゴール設定でした。次は、あなたのビジネスの中核となる「アイデア」について考えましょう。
皆さんの中には、起業のきっかけとなる、良いアイデアが生まれないと悩んでいる、あるいはアイデアがたくさんあり過ぎて絞りきれないという人もいることと思います。

アイデアを発想する第一歩は、自分自身や、周囲の方がどういった問題に直面しているかについて、考えてみることです。あなたが見た、聞いた、読んだ、感じた問題点を短い文章で書き出してみましょう。これにより、人々が抱える問題が表面化されます。

「私は地下鉄で地図を見ている人を見た。迷っているようだ」という例が挙げられます。

ニューヨークで活動するデザイン・リサーチャーのエイジェイ・レベルズさんは「問題とは、人の『現在』と『ゴール』の間にあるギャップである」と定義しています。

では先ほど書き出した「問題点」に対して、誰が、何を必要としていているのかを考えてみましょう。この際、もしゴールが簡単に見つかったり、スムーズに実現できてしまったりする場合は、「問題」は存在しないということになります。

地下鉄の例では、「旅行者」が「タイムズスクエアに行きたい」が「どのラインが良いのか分からない」という問題を見つけることができるかもしれません。

アイデア発想法
「発散」と「収束」

アイデアの出し方は、大きく「発散」と「収束」のプロセスに分かれます。この二つの違いについて理解し、意識的に分けて考えることが非常に重要です。

「発散」は、自由な発想でどんどん考えを膨らませ、より多くのアイデアを生み出すことを目的とするプロセスです。よく使用される手法に「ブレインストーミング(ブレスト)」があります。地下鉄を例に取ると、問題解決にはたくさんのアイデアが考えられますよね。アイデアの質より量が大事になりますので、さまざまな目線からよりたくさんのアイデアを、良し悪しを考えず、まずは書き出してみてください。

「発散」で得られたアイデアを精査し、まとめあげるのが「収束」のプロセスです。

「収束」とは、多くのアイデアから似たものをグループ化したり、得点を付けたりして論理的に意味付けし、構造化を行い、絞り込んで(収束して)いく過程を指します。この際、「セブンクロス法」などのテクニックが使われます。この過程で選ばれたアイデアが、あなたが一番エキサイティングだと感じるものであることも重要です。

ポストイット活用
プロセスの可視化

まとめると、良いアイデアを生み出すためには、まず問題点を見つけ、それを起点としてたくさんのアイデアを発散し、最後にアイデア収束していくという一連のプロセスが必要です。
このモデルは、1人でも、多人数でアイデア会議を行う場合にも活用できます。オフィス必携アイテム「ポストイット」は著者お薦めのアイテムです。特にグループでの作業では、ポストイットにアイデアを書き込み、ホワイトボードなどに貼り付けてプロセスを可視化することをお薦めします。
どんなアイデアも、生まれたての段階は未完成な存在です。そのままで製品化したり、ビジネスとして実行したりするのは難しいものです。次回は、あなたのアイデアを次の段階につなげるマーケット調査と顧客の「発見」について解説します。

【スタートアップに関する用語】

セブンクロス法(The 7×7 technique)
ビジネスコンサルタントであったカール・グレゴリー(Carl Gregory)氏が考案したブレーンストーミング発想法で共通の問題点や意見をタテヨコ七つの項目に分類し、重要な順に並べることで解決アイデアを考える方法。
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なぜなぜ分析(The 5 Whys)
元トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)副社長の大野耐一(たいいち)氏が体系化した「トヨタ生産方式」の中で提唱される発想法。英語では「The 5 Whys」として知られる。問題が発生した際に、「なぜ?」を5回繰り返し問い掛けることで問題の原因を究明する方法。
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マインドマップ(Mind Map)
マインド・マップ とは、イギリスの能力開発の権威、トニー・ブザン(Tony Buzan)氏によって開発されたアイデア発想法。テーマを中心に置き、そこから自由にアイデアを放射状に書き出して発想をしていくブレインストーミングの方法。977_startup

 

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奥西正人(まさひと)
RISING STARTUPS代表

2015年にミートアップ「JAPAN NYC Start- ups」を、翌年、「RISING STARTUPS」設立。ニューヨークのスタートアップ企業の交流を目的とした「IF CONFERENCE」、起業を目指す人を支援する「IF Workshop」を開催。www.risingstartups.co

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