Page 20 - NY Japion
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第 回  トランプ氏の勝利ないだろう。  確かに、 トランプ氏は、 や北大西洋条約機構(NA警戒し、監視続けよう トランプの敵は、共和党が持てる全ての力を使っ て、あなたたちの権利を守 る。私たちは、あなたたちの政治家でも共和党員でも なかった「部外者」だ。党を まとめて、連邦議会を味方 につけない限り、何の政策 も実現できない。「米国とメ キシコの国境の壁を建設す る」というトランプ氏の最 大の選挙公約も、グルファ ー氏は、「絶対に実現しな い」と断言する。共和党の 選挙公約になく、同党議員 の賛成が得られないから だ。TO)など同盟国を軽視す る姿勢は、世界をより不穏 な場所にする可能性があ る。熱狂的な支持を得た保 護貿易主義で、中国やメキ シコからの輸入品について 高い関税をかけるというの も、強烈な抵抗があるだろ う。深刻な貿易摩擦に発展 する可能性もある。  このコラムを書いている 月 日現在、8日の大統 領選挙の結果を受けたショ ックは、まだ続いている。共 和党のドナルド・トランプ 氏が勝利した。予想はして いたが、大都市で起きてい る抗議デモは、すでに6日 も続き、暴動に発展してい(平常通り開店)」といって、 味方だ」るところもある。  ニューヨーカーは、「ビジ現実路線の見極め  しかし、敗北したヒラリ ー・クリントン陣営が、激 戦州で票の再カウントを要 求し、選挙結果が覆されな い限り、現実路線を見極め ていく必要がある。  トランプ氏のホワイトハウス入りは、選挙の結果として決まった。しかし、ブッシュ親子元大統領や党の重鎮が、彼には投票しないことを表明していた。その一方で、ニュート・ギングリッチ元下院議長や、ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長などが熱狂的に彼を支援した。つまり、共和党の中にも「トランピスト」と「ノントランピスト」 ものかが問題で、デモが起 がいる。つまり、共和党内で きているわけだ。スローガ 分裂していることが、トラ ンが、真に実現すればと願ネス・アズ・ユージュアル  ビル・デ・ブラシオ市長はどんな困難に直面しても、 次のことを考えて、前に進 むことを自負してきた。民 主党候補のヒラリー・クリ ントン氏を支持した半分 の国民にとって、ショックは それほどに大きい。  市長が、こうした声明を 出すのには、意味がある。す でに、大学のキャンパスや学 校で、「ヘイトクライム」と みられる事件が表面化し ているからだ。  トランプ氏は、自分こそ が一番と思っていないと気 が 済 ま ず 、短 気 な と こ ろ ろ ろ を、3回の大統領候補討論 会のテレビ中継中に、度々 露呈するのを、私たちは目 撃した。その彼が、核兵器 使用を含む軍の「コマンダ ー・イン・チーフ(最高司令 官)」になるのも、脅威だ。記者会見し、こう言った。   「不安になっているニュー ヨーカーに伝えたい。確信 を持ってくれ。私たちは、市  内政だけでなく、日本を 含めた海外からの警戒は 必要だ。トランプ氏が日本公約実現の壁  共和党の有力支持者で あり、米投資銀行ガリレ オ・グローバル・アドバイザ ーズのマネジング・ディレク ター、ジャン・クロード・グ ルファー氏に、今後の動き を聞いた。  トランプ氏の「アメリカ を再び偉大な国に」という スローガンは、言葉通り取 れば、パワフルなものだっ た。ただ、それが誰のための  「トランプと共和党は、 ンプ大統領の今後の「敵」 うばかりだ。 互いに異なるアジェンダ(選挙公約)を掲げているため、それを合体させていくことが必要になる」  その実現には、同党のリーダーである、ポール・ライ アン下院議長やミッチ・マ コネル上院院内総務らに、 トランプ氏は頼らざるをえだ。「偉大な国」は誰のため  有力紙ニューヨーク・タ イムズの記者が議論を交 わす「NY1」の日曜日の 番組で、今後をどう見極め るのか騒然となった際、記 者の一人がこう言った。  「トランプは、橋や空港 などインフラを良くすると 言っている。そうなるなら、 社会には良いことではない か。警戒しながらも、用心 深く見守っていく、それし かない」ハートPhoto by Keiko Tsuyamaニューヨークのクリントン氏の選挙本部には勝利集会を期待し、2万人が集まった【今週の用語解説】大統領選挙  8日に投票、開票が行われ た大統領選挙では、共和党 候補ドナルド・トランプ氏が過 半数の選挙人を獲得し勝 利。選挙人投票は12月19日 に行われ、その結果を踏まえ、 1月6日の連邦上下院合同 議会で正、副大統領が正式 に就任。敗北した民主党ヒラリー・クリントン氏は全体得票 率ではトランプ氏を上回って いた。2000年の大統領選で 全体得票率で上回りながら 敗北した民主党候補アル・ゴ ア氏以来。同時実施の連邦 議会選では上下院で共和党 が多数派を占めた。11 1339Friday, November 18, 2016|Vol. 891|20 BUSINESS津山恵子の に刺さるニュース解説米国で起きているさまざまなニュースは、市民 の生活にも深く関わっている。ニュースの背 景や深層、そしてわれわれの生活への影響 を、気鋭のジャーナリストが解説する。津山恵子ジャーナリスト。「アエラ」などに、ニューヨーク 発で、米社会、経済について執筆。フェイス ブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏などに 単独インタビュー。近書に「教育超格差大 国アメリカ」(扶桑社)。2014年より長崎市 平和特派員。元共同通信社記者。


































































































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