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15|Vol. 890|Friday, November 11, 2016 BUSINESS阪本が選ぶ読めば分かる この一冊実践!「現場営業力」強化セミナー 高橋昌裕105共 感 マ ー ケ ティン グる。例えば、発酵食品、酸っ なんです。まるで宗教みた ぱいもの、紅茶、魚、などを いですが違います(笑) 。 積極的に食べて、これまで   ブランド創造とは、顧客 好んで食べてきた揚げ物、 の環世界の中に、ブランド ビール、コーヒーは極力口 Xの環世界をはめ込むこと にしない。始めて約4カ月 です。大きなシャボン玉を ですが、ものの見方・考え方 イメージしてください。人 も変わってきたように思い 間はそのシャボン玉の中に ます。 います。そのシャボン玉の中〝共感〞をキーワードに独自のマーケティング理論を 展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一の「マーケティング力アップ講座」。第 回 環世界の更新  あってはならないことで に、小さなブランドXのシ すが、万が一、病気になった ャボン玉が入っていく。そし としても、環世界の更新に て、例えば「おしゃれな家具 役立つ、と捉えましょう。昔 で部屋を飾りたい。しかも  人間に限らず、生物はす売上手な人は環世界をず からです。朝起きて、時間の の人は「病を得た」という表 安く!」というニーズがあ っと更新し続けています。 ない中でもインスタントコ 現をしています。そうです、 ったら、かつてそのニーズをべて、自分を取り巻く世界にどう意味付けするかで自分の凝り固まった考えを 更新するわけですね。「私 が考える」と思っています が、実は自分が長年の生活 や仕事を通じて世界に意 味付けして形成した環世 界が考えているに過ぎませ ん。だから水がセ氏0度に なったら氷になり、100 度になったら蒸気になるよ うな物理現象で世界が形 成されているのではなく、 あくまで主観なのです。ーヒーを作って、一杯飲ん 環世界の更新の機会を得 で出掛ける。会議中ボトル たわけです。こうなるとす に入ったミネラルウオータ べて、自分にとって「異和感 ーを飲む。糖分補給にミル ある」出来事は環世界の更 クチョコレートをかじる。 新に貢献するわけで、起こ 乳幼児に乳製品を与える。 ったことはすべていいこと これらすべてネスレが商品満たしてくれたためにシャ ボン玉が形成されているI KEAというブランドシャ ボン玉がクローズアップさ れてくるのです。個体だけの世界を形成しています。これを環世界と呼びます。人間の場合、多くは乳児以来、育ってきた家庭で形成されます。このため、新婚生活は環世界のチューニングから始まりま化して人間のライフスタイす。お風呂が先か、夕食がルを更新したものです。   では環世界を更新する にはどうすればいいのでし ょう? それは「異 some-先か、朝食はパンかごはん...か  。 また、国籍によっても違います。悩みを抱えた とき、日本人は胃が痛くな りますが、アメリカ人は頭 痛が、フランス人は背中が 痛くなります。  ネスレは常に世界のGD Pを上回る成長を遂げる 超優良企業です。時価総額thing different」に出合う機 会を生かす、です。何か想  業界独特の習慣も環世界のなせる技です。某通信会社では会議中携帯電話が鳴って出てもおとがめなしで驚きました。普通の声の音量で「もしもし、あ、どうもどうもお世話になります...」と始めるのです。   その理由は、「常に生活定外のことに出合う、嫌な 目に遭う、旅に出る、通勤 路を変えてみる、食を変え  さて、環世界と商売がど う結び付くかというと、商た。嫌いなものを努めて食 界を更新しつづけてきた」 べるようにし、好物を控え・8兆円、対し日系上位 5社(サントリー、明治、キ リン、アサヒ、JT)が 兆 2940億円と、他にも売 上高、営業利益いずれの指 標で見ても、群を抜いてい ます。てみる...「異 some- thing different」ランプが点灯す者のライフスタイルの環世る体験をするのです。  ランプが灯ったら、「新something new」が生まれま す。この夏、思いたって食べるものを真逆にしてみまし  著者は世界的コンサルテ ィング会社A・T・カーニー 金融プラクティス・プリンシ パル。主に地域金融機関に 対する豊富なコンサルティ ング経験があり、本書はそ れを蒸留したものです 。 地方金融機関の支店長に 向けて書かれた内容です が、企業にとって金融機関 は第三のお客さま(第一は 買ってくれる顧客、第二は 社員)。金融機関が何を考 えているのかを研究するのも大事です。日本もアメリ カも、大筋は同じでしょう。 また、「営業」という行為に 絞れば、金融機関も一般企 業も同じ。商品(融資)だけ ではなく、関係構築がマー ケティングの鍵、という指摘 も100%賛成です。関係 構築は時間が経てば深ま り、ブランドゾーンの面積が 広がる。ややもすると機能 のみが表に出て、違いを出 しにくい商品の場合、関係 構築こそが決め手です。「自分たちは、金利勝負 になったらトップバンク にかなわないことも多 い。(中略)そこで、融資 の 話 が 出 てくるより 前 に、社長とたくさん会話 し、徳を積み、価値を感 じてもらえるようにして いる。」(本文から引用)金融財政事情研究会2514今週の教訓商売とは、ライフスタイルの 更新提案です阪本啓一■ブランディングコンサルタント。大阪大学 人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し 渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。 06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社 長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営 の実現に取り組む。『ブランド・ジーン~繁盛をもたら す遺伝子(』日経BP社)などの著書・訳書、講演活動 も多数。www.kei-sakamoto.jp 電子メディア開店!www.orange-media.jp


































































































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