Page 40 - NY Japion
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テーマ ◆ 子供から高齢者までの音楽療法(後編) 音楽で「会話」と「交流」しい環境や人間関係に適 応するのも大変ですし、孤 独や不安などから、気分が 落ち込んでも不思議では ありません。せば、一人のときより音が パワフルになり、それだけ 楽しくもあります。大きな 声を出してもらったりもす るので、気分転換やストレ ス発散になり、躍動感や達 成感を得られるという人 も多いです。心身の動きに即興で反応 こういう人たちにとっ て、グループに参加して、み んなで何かをやる、一緒に 何かを作り、その感動を分 かち合うということは、意 味のあることです。そのた め、セッションではまず、精 神的に安心できるグループ の雰囲気作りを考えます。音楽を通して「会りたがらない子供もいまことで、音楽療法士と子供ドラミング・グループ話」や「交流」を図る とは?す。 そこで、子供の動きに合が一緒に音楽を作ります。 セッションの回数を重ね、参加者の感想は?音楽療法には、さまわせて音をつけたり、子供 の好きな楽曲を使って、一 緒に音を出すことを促し たりすることにより、まず は子供のありのままを「音 で」受け止めます。子供が 泣いている場合は、その泣 き声に合わせます。ありの ままを受け入れるというの は、音楽療法士とクライア ントの信頼関係を作る上で とても大切です。信頼関係が強くなるにつ れ、お互いの音楽を通して のやりとりや、表現のレベル に変化が現れます。こうし て、音楽療法士とクライア ントとの間に生まれた「会 話」を起点に、そこからさら に進んでいくわけです。「元気が出た」「また 参加したい」「やった ー!(I did it!)という感じが した」などです。また、セッ ションの初めは硬かった表 情が、次第にやわらかくなざまなアプローチが あります。ここでは、言葉を ほとんど話すことのできな い自閉症児のセッションを 例に、音楽療法士とクライ アントが即興で音を出しな がら、一緒に「音楽する」ア プローチについて、簡単に説 明します。これは、「今、この とき」のクライアントをあ りのままに受け入れ、音楽 療法士とクライアントが音 で「つながる」ために、有効 な方法の一つです。 イザベラハウスでは、ド ラミングのグループ(ドラ ムや太鼓など、主に打楽器 を使うサークル)を作って おり、みんなで打楽器をた たいて音を出し、ほかの人る人が多いです。 認知症患者は、病気が進 自閉症児には、周囲とコ ミュニケーションを取りに くい、変化への対応が難し い、言語能力の発達が遅れ ている――などの特徴があ ります。セッションでも、最 初は音楽療法士と目を合 わせられず、楽器で音を出 して遊ぼうと誘っても、や 音楽療法士は、子供がどんな音やフレーズに、どのように反応しているかを細かく観察していきます。そして、子供が出すメロディーやリズム、体の動きなどの変化に、即興で音を出しながら反応すると、今度はそれに、子供がさらに反応するというように、「会話」 自分の家を出てナーシング いて、自分の思うようにや が始まります。音の流れを ホーム(高齢者対象の福祉 ってください」とだけお話 汲みながら会話を重ねる 施設)で暮らしていると、新 しします。みんなで音を出高齢者のグループ・むと表情がなくなることが ありますが、一緒に歌い、楽 器で音を出すうちに、自然 に笑顔が出て、楽しそうに 声を出す人もいます。ある グループで童謡を歌った ら、いつも黙っていた人が突 然一緒に歌い始めたことも ありました。セッションについて、 の音を聞きながら、自分も 簡単に教えてください。 音で加わるということをし 私が勤務する複合 ています。参加者が互いに 高齢者施設イザベラ 音を聞き合い、その場で音 ハウスでのセッションについ 楽を作り上げるので、一回 てお話ししましょう。 一回どういう音楽になるか 参加者には認知症患者 は、やってみなければ分かが多く、その場合、集中力 りません。 の持続や、記憶力の維持な 「(ドラムを)こういう風 どが通常はゴール(目標) にたたく」というお手本は とされます。しかし、イザベ ありません。私からみなさ ラハウス入居者のように、 んには、「周りの音をよく聞 このように、音楽には人 の心に入り込み、活力を与 えたり、なぐさめ、励まし たりする力があるのです。※次回から、三宅亜紀子さ んにがん患者の心のケアに ついて伺います。イザベラハウスでの高齢者グループ・セッションの 様子。楽器初心者が多いが、表情は真剣かつ明 るく、参加者同士声をかけ合い笑い声も聞こえる吉村美智代さんMichiyo Yoshimura, MT-BC, LCAT ――――――――――――――――― 音楽療法士(Board Certified by CBMT =Certification Board for Music Thera- pists)。モロイ大学音楽学部音楽療法学 科 卒 業 、ニ ュ ー ヨ ー ク 大 学( N Y U )大 学 院 音 楽 療 法 学 科 修 士 課 程 修 了 。N Y U ノ ードフ・ロビンズ(NR)音楽療法センター で主に自閉症児の臨床に従事。現在は 複合高齢者施設イザベラハウス勤務。 NRレベルII認定音楽療法士、ニューヨー ク州認定クリエイティブ・アートセラピス ト(LCAT)。INFORMATION吉村さんのイザベラハウス直通TEL: 212-342-9471AAQAQFriday, September 9, 2016HEALTH QVol. 881 40 ||

