Page 3 - NY Japion
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03|Vol. 946|Friday, December 15, 2017 COVER STORY75(写真上、中)ただの罰ゲー ム と 思 い き や 、実 は 高 度 な 即興劇の要素が加わって い る 「 B A T S U ! 」 。( 写 真 下 )「 B A T S U ! 」の ク リ エ ー タ ー で、プロの俳優でもある、左 からテックスさん、ロビンソン さん、ペインターさんBatsu!(Jebon NYC)15 St. Marks Pl.(bet. 2nd & 3rd Aves.) www.batsulive.com/new-york常にエンタメや遊びの最先端があるニューヨー ク。今回は、夜な夜なバーやレストランで繰り広 げられている地元住民に人気のショーやゲーム の数々を紹介。道の世界に飛び込んでみよう。© astarot/ Shutterstock.com日本のお笑いから発想 即興演技混ぜた新機軸彼らはその場で瞬時に回 答しなくてはならない。「バ ツ!」は非常に頭を使う筋 書きのない芝居で、演じる 方も見る方もハラハラドキ ドキなのである。pill.」という具合。最初は軽 快にラップが回るが、やが て「-ill」で終わる単語が底 を突き、言い淀んだところ で、その人の負け。俳優が、現会場の居酒屋オ ーナーから「飯を食わせて やるから何か面白いことや れ」とけしかけられ、苦し 紛れに日本の罰ゲームとイ ンプロを合体させ、前代未 聞のエンタメスタイルがで きた。  斬新なライブ音楽や舞 台芸術を絶え間なく発信 するニューヨークだが、イ ーストビレッジの片隅で週 5日上演されている「バ ツ !( B A T S U ! )」ほ ど 型 破 りなショーはないだろう。バツ!   「バツ!」とは日本語の  お待ちかねの罰ゲーム は「平手打ち」「電気ショッ ク」「ネズミ捕り地獄」など 過酷かつナンセンスの連実は脚本のない芝居から「バツ、バツ、バツ」の大 合唱。一部門終わるごとに 場内全員でおちょこで乾 杯。会場は否応なく一体化 する。  ステージは和食居酒屋 「Jebon」の地下にしつらえ た板張りの舞台。三方をテ ーブル席( 人収容)が囲 い、観客は飲食しながら鑑 賞する「ディナーショー」の 体裁だが、うらぶれた温泉 旅館の演芸場といった方がで脚韻を踏むように一節ず   「バツ!」の誕生は今からしっくりくる。会場を一体化させる「罰」のこと。4人の俳優たちが、次々に出題されるクイズに挑戦し、敗退者が思いもよらぬ過酷な「罰ゲーム」を体験する。その様たるや予想通りの抱腹絶倒だが、単に敗者を笑い物にする悪趣味なショーと思ってはいけない。というのも、登場する4人の挑戦者たちは、正規の演劇訓練を受けたベテランばかり。しかも高度な演技を必要とするインプロ(台本のない即興劇)の専門家。クイズは観客からのお題拝借も多く、 for the time to swallow a の3人の売れないインプロ  「日本のテレビ番組は本 当によく研究した。素晴ら しいアートだよ。特にダウ ンタウンの『ガキの使いや あらへんで!』は僕らのバイ ブル」と語るのはジョーさ ん。「でも罰ゲームだけじゃ お金は取れない。そこでイ ンプロの要素を取り入れ た。台本のある演劇にはも はや何の感動もない。何が 起こるか分からないからド ラマチックなんだ」。  クイズは全部で7部門。 続。罰の執行のたびに観客いずれも他愛ない設問で英語が少々分からなくても十分に楽しめる。ネタバレ防止でごく一部しか紹介できないが、例えば「ラップしりとり」。客席から一音節の名前(例、Bill、John、Mary お笑い+インプロで誕生 など)を募ったら、その名前つラップを即興で作る。7年前。ジョー・テックスさ ん、エリック・ロビンソンさ ん、ジェイ・ペインターさん  「My name is Bill. I was sitting on the hill.」「Waiting  当初は、月曜のみの公演 だったのが、今では週5日 公演。しかもチケットはほ ぼ毎日売り切れ。今年から シカゴ公演も始まった。「夢 はラスベガス。でもその前 に、こいつを日本で上演し てみたい。松っちゃん、呼ん でくれないかな」と言ってジョーさんは高らかに笑った。まだ見ぬ夜遊びNYで


































































































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