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03|Vol. 932|Friday, September 8, 2017 COVER STORY血糖値の指標血糖(グルコース)値ヘモグロビンA1C(HA1C)5.7%以下が正常値、5.8~6.4%は境界型、 6.5%以上あると糖尿病コレステロールの正常値空腹時で70~99mg/dlが正常値空腹時で110~124mg/dlが境界型(予備 軍)空腹時で125mg/dl以上、食後で200mg/ dlが2回続くと糖尿病と診断される数値総コレステロール200mg/dl以下善玉(HDL)40mg/dl以上悪玉(LDL)100mg/dl以下※あくまでも基準。糖尿病の人は、悪玉をも っと下げる必要があるなど、ケースバイケー ス。中性脂肪150mg/dl以下血液検査から分かる数値今回、編集部S(50代女性)の血 40 液検査の数値をもとに、柳澤先生 に解説とアドバイスをお願いした。柳澤貴裕先生Robert T. Yanagisawa, MD 内分泌内科専門医師(Board Certified)。マウントサイナイ・アイ カーン医科大学教授、内分泌科研 修プログラムディレクター。糖尿病 や甲状腺疾患が専門。東京女子 医科大学招待教授、東北大学医 学部臨床教授、米国日本人医師 会副会長。Mount Sinai HospitalEndocrine Associates5 E. 98th St., 3rd Fl.(bet. Madison & 5th Aves.) TEL: 212-241-3422 www.mountsinai.org/profiles/ro bert-t-yanagisawaお話を聞いた 先生グルコース 83(70-99) LDL 123(100以下) HDL 92(50以上) 中性脂肪 65(150以下) ※単位mg/dl、カッコ内が正常値【柳澤先生のコメント】  血糖値は正常値内ですね。コレ ステロール値は、悪玉(LDL)も多 め で す が 、善 玉( H D L )が 多 い の で、リスクは低いという診断になりま す。「Cardiovascular Risk Assessmen(t 心血管系リスク評 価)」という指標があり、年齢、総コレステロール値、善玉値、血圧、血 糖値、喫煙の有無などの総合判断 で個々の患者のゴール値が決まり ます。Sさんはとりあえずリスクは低 いですが、食生活を少し見直して運 動を心掛けると良いと思いますよ。© Yaping/ Shutterstock.com正しく知ってプロ・ヘルス血糖値とコレステロール値高血糖/コレステロール   持ちつ持たれつの悪循環  ではどこまでが高血糖 で、どこからが糖尿病なの か。判断する血糖値は2種 類ある。一つはグルコース で、食後急激に上がる瞬時 の血糖値。もう一つがヘモグ ロビンA1Cという、3カ 月の平均血糖指標だ。  「高血糖と高コレステロールは別ものですが、どちらかが高いと一方も高くなることが多い」と、内分泌内科専門医師・柳澤貴裕先生は話す。そのカギを握るのがインスリンだ。「2型糖尿病の原因であるインスリン抵抗性が高くなると、血糖値が上がるだけでなく、   そして、長期的に糖の取血中コレステロールを下げ る能力も低くなる=コレス テロール値が上がる」̶こ れが合併症の図式だ。り過ぎが続くと太るだけ でなく、膵臓が酷使され る。結果、インスリンの分泌 と機能障害が起こる。これ が「インスリン抵抗性が高 くなった状態」だ。そうなる と、糖分がエネルギーにも 脂肪にも変換されず、その まま血液に流れ込むので高 血糖になり、その段階で食  ヘモグロビンA1Cと 浸透しやすい小型LDL。 は、赤血球に付着して、常 2型糖尿病の人にこの値が に血中を流れる糖分量のこ 高い人が多い。 とで、食前食後で値が上下   中性脂肪とは、ブヨブヨ しない。グルコース値は2 の皮下脂肪のことで、体の 回の検査が必要になるが、 エネルギー源。決して「悪 ヘモグロビンA1Cは1回 者」ではないが、善玉(HD の検査で判断が可能だ。 L)のようにあればあるだ◇  血糖値とコレステロールインスリンと血糖値値、どちらか単独で高い人 もたくさんいる。人それぞ れであること、生活習慣だ けでなく遺伝や体質も関 与していることを知ってお きたい。食事に気を付けて 運動もしているのにと、自 分を責める人がいるが、そ れは体質だから仕方ない という。そうした人は医師 の指示を仰ごう。  インスリンとは糖を分解するホルモンで、膵(すい)臓から分泌される。これが正常に分泌され、機能して い止めなければ糖尿病に いれば、食べた糖をエネル 発展してしまう。けいいものではない。 三つのコレステロール値   そして、コレステロール 値にはホルモンも影響す る。例えば甲状腺ホルモン が低下すると、コレステロ ール値は上がる。また、女ギーに変換して体のために 使い、余った糖分を脂肪に 変換して体に蓄えることが できる。ちなみに、糖分(砂 糖や炭水化物)を取り過ぎ ると太るのはこういうメカ ニズム。「甘いものは少量で 高カロリーという側面もあ りますよ」と柳澤先生。  空腹時のグルコースが125mg /dl以上、または食後で200mg /dl以上が2回続いた場合、 /dlある人もいる。 もしくはヘモグロビンA1   いうまでもないが問題は Cが6・5%以上である場 悪玉(LDL)。中でも最も 合に、糖尿病と診断される。 危険なのは、血管の内壁に  そして、インスリン抵抗 性が上がると、コレステロ ールに関連して次の三つの 値が上がる。1善玉(HD L)コレステロール2悪玉(LDL)コレステロール3 トライグリセライド(血中 を回る中性脂肪)。  善玉(HDL)は、血管の 内壁から悪玉(LDL)を 吸収してくれるので、この 値は「高ければ高いほどい2型糖尿病や高脂血症など、メタボリック系の成人 病が若年化している昨今。誰もが何となく気にしてい る血糖値とコレステロール値だが、それらを正しく知 り、まず頭を〝 プロ・メタボ〞から〝 プロ・ヘルス〞に切 り替えることから始めよう。い 」。 m g / d l 以 上 あ れば正常だが、150mg性ホルモンの一つエストロゲ ンの作用で、善玉(HDL) は一般的に男性より女性の 方に多いと言われるが、更 年期でエストロゲン分泌が 減ると、コレステロール値 が高くなる女性も多い。


































































































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