Page 3 - NY Japion

03|Vol. 882|Friday, September 16, 2016 COVER STORY20今こそニューヨークで ステーキだ!日本の精肉店のように肉が整然と並ぶ同店内。経験豊かな店 員たちが肉を丁寧にさばいてくれる553028 30ステーキにおすすめの部位リブアイ サーロインがっつりステーキを楽しむなら、脂身のたっぷり付いたリブア イがハズレなし。脂身があまり得意でない人は、サーロインの 霜降りと歯応えを堪能しよう香ばしい香りに、あふれる肉汁、そして食後の満足 感。ステーキは老若男女から愛される、ごちそうの 代名詞だ。今号では、今、注目される和州牛の話か ら、王道ステーキからひとひねりを効かせた、個性 派ステーキまでを紹介する。Japan Premium Beef, INC.57 Great Jones St. (bet. Bowery & Lafaye- tte Sts.)TEL: 212-260-2333 www.japanpremiumbe ef.com和州牛ってどんな肉?産牛の3倍のコストがかから、どんな食べ方がおすす 「米国人は和牛のコクや今、米国で注目されているのが、和州牛のステーキ。ブ ランド和牛・但馬牛と、オレゴン産のブラックアンガス ビーフとを掛け合わせた、ハイブリッド牛肉だ。生産元 のジャパン・プレミアム・ビーフに、その魅力を聞いた。を食べて育つ。一方和州牛 は、肉に甘みを加えるため に、大豆やトウモロコシな どの穀物を与えながら、特 徴である「霜」(筋肉の間に ある網目状の脂肪)を持た せるために、米国産牛より も長い約 カ月から カ 月まで育てる。つまり和牛 と同じ飼育方法だ。「穀物 の費用や育てるためにかか る人件費を考えると、月1 00頭を屠畜するのが限 界です」。それでも和牛の半 分以下の価格であること が、米国でのニーズを高め ているという。いのが特徴。マリネせずに、 まだ勇気のいる値段です」 高温でジュッと焼いたミデ 本国日本では、逆に熟成 ィアムレアのステーキを、 肉が脚光を浴び、赤身の牛 塩だけで食べてみてくださ 肉が主流となりつつあると い」と自信たっぷりに話す。 いう。米国への和牛の輸出名実ともにプレミアム らかさを加えるために専 「和州牛の最大の魅力 用冷蔵庫で 日前後熟成 は、和牛の香りと柔らか (エイジング)を施した肉だ さ、そしてアンガスビーフ が、和牛同様、霜降りの脂 の肉のうまみの両方を兼ね が多い和州牛は、エイジン 備えているところです」と グせずとも柔らかく、かつ 語るのは、ジャパン・プレミ 新鮮なものをいただけるの 和州牛デビューに選びた 量が伸びるのも納得だ。 い部位は、山口さんが「肉の 和牛がニューヨーカーの 王様」と呼ぶリブアイ(牛の 支持を集める背景には、も 背中部分)。筋肉の動きが う一つのフードブームがあ 少ないため肉質が柔らか る。ニューヨーカーで特に く、牛独特の香りが強い肩 顕著な健康志向だ。 回りにもほど近い、味、香 「和州牛はオールナチュ りともにバランスの取れた ラル。ホルモンは投与せず、 部位だ。 ノーストレスで育てます」アム・ビーフのマネジャー、 が魅力だ。 山口圭悟さん。バワリーに 和州牛のリブアイは、1ある唯一の直営店では、同 社オリジナル品種、和州牛 の約 部位を販売してい る。ポンドあたり約 ドル。市 内で流通している一般的な 米国産牛と比べると高値 なのは否めない。その理由 を山口さんは、「和州牛を 育てるのは、一般的な米国 リブアイよりも腰寄りに ノーストレスでは、放牧 広がる部位がサーロイン。 状態でのびのび育てること 米国で一般的な赤身のス テーキ肉の主流は、肉に柔一押しは「肉の王様」こちらは肉の外側に付いた 脂が少なく、さっぱりと食 べられる。で、牛が「幸せ成分」(セラ トニン)を分ぴつし、肉をグ ンとおいしくする。さらに 和州牛の取り扱いはジャパ ン・プレミアム・ビーフの一 社だけ。まさに近年のニュ ーヨークフードのキーワー ド、「生産者の見える食材」 とも言える。ります」と話す。 米国産牛の多くは牧草めだろうか。山口さんは 香りが好きですね。日本国 「もちろんステーキです 内より、国外の方が和牛の よ!」と即答。「和州牛は肉 需要が高まっています。た そのものの香りと甘みが高 だレストランで食べるには 初めて和州牛を食べるな 料理人としても肉の味 を追求する山口さんおす すめの付け合わせは、大き めの角切りベークドポテト とのこと。背景には2大フードブーム まだ和州牛の普及活動 は道半ばとのことだが、2 009年のオープン以来、 認知度は上がり、消費も増 えているという。その一因と して、近年の米国での「和牛 ブーム」がある。食欲の秋!