Page 3 - NY Japion
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03|Vol. 846|Friday, January 8, 2016 COVER STORYセント・ジョン・フリゼルさん フードライターからバーテンダーに転 身。マンハッタンの名門カクテルバー「ペグ・クラブ」に勤務した後、2009年 に「フォート・デファイアンス」を開店。Fort Defiance: Café-Bar365 Van Brunt St.Brooklyn, NY 11231TEL: 347-453-6672 www.fortdefiancebrooklyn.comほろ酔いホットドリンク暖冬が続いたニューヨークだが、新年に入り、急 激に冷え込んできた。そこで今回は、ジャピオン 編集部が市内のバーを飲み歩き、心身ともに温 まるホットカクテルやお酒の数々を探してきた。クリームの層が美しい「フォート・デファイアンス」の「アイリッ シュコーヒー(」写真上左、12ドル)。バーボンをスチームドミル クで割った姉妹カクテル、「ケンタッキー・ナイトキャップ」(同 上右、9ドル)。季節限定で、いずれも一晩寝かせて味わいを 完成させるという、ジンジャーブレッドのフレーバーが優しい「ホットビール(」同下左、11ドル)と、果実の酸味が腹に染み る「ホットワイン(」同下右、10ドル)ブルックリン発ホットカクテルの代表格と言えばアイリッシュコーヒ ー。アイルランド系移民が多いニューヨークではおな じみだが、ブルックリンにある「フォート・デファイア ンス」のものが市内随一と地元各紙で評判だ。  アーティストスタジオが んでくれ!」と耐熱グラス 並ぶレッドフック地区にあ 入りのアイリッシュコーヒ るカフェ&バー「フォート・ ーが登場。軽く口をつけた デファイアンス」。独立戦争 だけで、洗練された大人の の古戦場だったこのかいわ 味わいに体が芯から反応 いの歴史を意識した素朴 する。よく冷えた生クリー な店内を見渡せば、なるほ ム層の下から、すすり上げ ど、客はほぼ全員アイリッ る液体は限りなく沸点に シュコーヒーを頼んでいる。 近く、その温度のコントラったクラシックカクテルの 誕生秘話が面白い。ーカウンターの中に導入しェークした生クリームをか ぶせる。  「週末ともなると100 杯は出るよ!」と話すのは オーナーのセント・ジョン・ フリゼルさん。元はフード ライターだったが、食通が 高じてバーテンダーに転 身。マンハッタンの有名店で 腕を磨いた後、2009年 に同店をオープンした。ストときたらまるで雪中の 露天風呂。しかも、コーヒ ーの芳醇(ほうじゅん)な苦 味に、程よくアルコールが 飛んだウイスキーのまろや かな口当たり。そして全体 に行き渡るほのかな甘味 と、見た目だけでなく、味 も多層を成している。いま やブルックリンの名物となたという。  「結構な出費だったので  「味の決め手は、温度差 だよ。ドリンクもカップも やけどするくらい熱くして トッピングのクリームはあ くまでも冷たく。それが基 本。そこで威力を発揮する のがエスプレッソマシーンや スチーマーなんだ。バーに エスプレッソマシンという ミスマッチが、偶然にも最 高のアイリッシュコーヒー を生み出したのさ」  「まずは、論より証拠。飲お話を聞いた人  おいしさの秘密は手間 暇掛けた製法にある。シュ ガーシロップ1オンスにア イリッシュウイスキー(銘柄 は「パワーズ」)1・5オン ス。これを湯煎にかけてい る間にダブルエスプレッソ を作り、出来たてを4オン スの熱湯と共にウイスキー に注ぐ。仕上げには、よくシマシンの有効利用で誕生何とか有効に利用したかっ た。そこで、思い付いたのが ホットカクテル。試しにア イリッシュコーヒーを作って みたらめっちゃウマかったっ てわけさ」  「辺ぴなエリアだから夜 の営業だけではとてもやっ ていけないと考えた」と語 るフリゼルさん。朝食やラ ンチも提供する計画を立 て、8000ドル近くはた いてエスプレッソマシンをバ手間暇掛けた一杯  大ヒットに乗じ、常設の 5種類に加え、季節限定の ホットワインやホットビー ルなどホットカクテルメニュー全7種類を展開してい る。極寒の夜はぜひブルッ クリンで「お熱い」経験をど うぞ。


































































































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