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15|Vol. 926|Friday, July 28, 2017 BUSINESS阪本が選ぶ読めば分かる この一冊本竜宮城と七夕さま 浅田次郎「人間は万事において 創造者たりえず、信託さ れた者だからである。」(本文から引用)小学館59 36139今週の教訓ほれてほれてほれ抜ける 商売をしましょう阪本啓一■ブランディングコンサルタント。大阪大学 人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し 渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。 06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社 長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営 の実現に取り組む。『ブランド・ジーン~繁盛をもたら す遺伝子(』日経BP社)などの著書・訳書、講演活動 も多数。www.kei-sakamoto.jp 電子メディア開店!www.orange-media.jp共 感 マ ー ケ ティン グを学んできては、試します。 は効果が出ません。地下二 しかし、結果につながりま 階の動機はいついかなると せん。 きでも「喜び」です。やってい〝共感〞をキーワードに独自のマーケティング理論を 展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一の 地下二階理論からいえ て喜びを感じられる商売に ば、「儲かっていない現実」 変えてしまう勇気。 は彼の望んだ結果です。 成功者の本は面白い。し「マーケティング力アップ講座」。第 回 現実が答え 彼は、仕事を楽しんでい かし、同じことをやって同 ません。今の商売も、本気 じように成功できるとはさ で好きなわけではない。こ すがに誰も考えないでしょ れまで長年やってきたから う。それは後知恵だからで という見栄やプライドで続 す。 けているだけで、仕事自体 成功者といえど、急流の に喜びを感じていないので 中にいたときは、「えいや 生まれて 年、ビジネス の世界に入って 年、その 経験から分かったことがあ ります。それは、「現実が答 え」というシンプルなもの です。識と潜在意識の二種類が さまへ真摯に向き合い、メ す。だから、問題は「やり っ!」で意思決定したこと 「そんなはずはない」「ま だオレは本気出してないだ け」。いえ、あいにくですが、んちゃらおかしいね」 繁盛しているお店は、そ れでいいのです。あなたの地 下二階が「繁盛店を作 る!」と決め、顕在意識に 指令を出し、「お客さまへ真 摯に向き合い」「メニュー開 発やら何やら懸命になって 取り組む」ようにしたのでになるには、「ノウハウ」で「望んだこと」であり「本気 出した結果がこれ」なので す。 考えてみてください。あなたはニューヨークに住んでいます。動機はそれぞれでしょう。人によっては、会社の命令で転勤してきたから、自分の意思ではない、という方もおられます。でも、 い。分からないが、恐ろしい「ニューヨークに住んで、仕 事している」現実を生み出 したのは会社でも他のだれ でもない、あなたなのです。ことに、地下二階は、現実 を作るのです。あなたの周 囲を見回してみましょう。 店」の場合です。潜在意識には2種類 地下一階と地下二階それが現実です。すべて地 下二階が生み出したもの です。 真面目な人ほど、やっか いです。知人の店はもうか っていません。真面目に取 り組んでいます。非常に勉 強熱心で、あちこちの勉強 会に顔を出し、新しい手法 「いやいやいや、それはな いでしょう。うちの店が繁 人間の意識には顕在意 盛しているのは、私がお客あります。顕在意識は起き ニュー開発やら何やら懸命 方」ではない。彼の「あり方」 て、自分で認識できる意識 になって取り組んだ結果 つまり、心底喜びを感じら ですね。そして潜在意識に だ。すべておめめぱっちり、 れる仕事を選択し、無我夢もあったし、「結果オーラ イ」だったはずなのです。し かしこれだけは言えます。 成功者は全員、仕事を楽し み、ほれ込んでいたという ことを。はさらに二種類あります。 起きた中でやったことだ中で取り組めるようにチェ地下一階と地下二階。地下 一階は、時に顕在意識へ、つ まり水面上に顔を出しま す。夢で見るとか、酔っ払っ たときのホンネとか。つい 感情的になって口走ってし まった一言とか。すべてあな たの地下一階に存在してい るものです。よ。それが地下二階? ちゃンジすること。 彼の店がもうかるよう 地下二階がやっかいで す。全く意識にのぼりませ ん。だから本人にも何があ るのか、さっぱり分からなすから。問題は「やり方」でなく 喜びを感じる「あり方」 問題は「繁盛していない 親戚が勤務する関係で の日常に同伴させていただ 利用する飛行機は国内、国 く楽しみを味わえます。 外ともにJALです。 引用した言葉は、「人間 席に着くととすぐ座席ポ がすべてをやっている気で ケットにある機内誌を広 いるが、実は神様が人間を げ、浅田次郎さんの連載コ 使ってやっておられるのだ ラムを読みます。そしていつ よ」という意味で、わたしも も、「うまいなあ」と筆の冴 常にそう思っています。 えに感動感心するのです。 仕事にせよ、私生活にせ 江戸っ子のきっぷの良 よ、「出た結果がいい結果」 さ、人の気持ちへの繊細な 「起こったことはすべていい 理解と行き届いた心配り。 こと」という哲学を持ってい ユーモアたっぷりのお人柄。 るベースにあるのは、この考 広く深い博学。旅する作家 えです。

