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29|Vol. 892|Friday, November 25, 2016 月一連載(謝る・優しくなる)第103回 DVの狭間で苦しむ子供たち 日本が2014年に加盟したハーグ条約は、「一方の親の独断 で、他方の親の許可なく国外に連れ出された子供を速やかに元 居住国に返還させる」ことを目的とした多国間条約です。これま で多くの連れ去りケースが報告されていますが、日本が、条約加 盟前なら子供の返還を国から求められることはありませんでした。 しかし、加盟後は外務省が中央機関の役目を担い、他国からの 返還要求に対応しています。  連れ去り理由の一つが「DVから逃れるため」です。ハーグ条 約では、「返還することで子供が深刻な危険に瀕する」ことが想 定される場合は、連れ去り国に子供が慰留することを認めます。 しかし、DVのケースが全てこれに適用されるわけではありませ ん。夫婦間、パートナー間で起きているDVが、子供に心身的に 多大な影響を与えていた事実を証明する必要があります。  また、元居住国で被害者がどのような支援を求めていたのか、 法執行機関への報告の有無なども、DVを証明するために大切 な情報です。「言語の壁もあり、帰国前に現地の支援機関に相 談することは無理だった」と言っても、証明を免除される理由に はなりません。そのため、まずは現居住国で専門機関に相談し、 どのようなステップを踏むことでDVから逃れ、子供を守ることがで きるのかを模索しましょう。被害者がよかれと思って子供を国外 に連れ去っても、子供には加害者も親なのです。連れ去ることが 逆に子供を傷つけることもあります。子供を第一に考え、行動を 選択していくことを勧めます。永尾香織/カウンセラーNew York Asian Women's Center (NY市在住アジア系女性のためのDV被害者保護団体)沈黙を 3ハネムーン期破るDV ー 家庭内暴力TEL: 1-888-888-7702(「Japanese please」と伝えること)サービスは無料Email: japaninfo@nyawc.org(日本語・英語) www.nyawc.org1緊張期 (非難・口論)2暴力期 (身体的・性的・精神的)NHK出版から転載している 「ためしてガッテン」著作権の都合により、不掲載となります。


































































































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