Page 13 - NY Japion
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13|Vol. 891|Friday, November 18, 2016 AREA INFO進め!NY道R287  世界中から人が集まるニューヨークには長い発 展の歴史と物語がある。この街の変遷を1カ所米最大の貿易拠点として栄 えていた。当然、労働者とそ の家族が移住してくるので 人口が増える。そうして大 都市という形態を成すよ うになると、貧富の差が生 まれ、犯罪が増え、公衆衛 生が乱れるのが世の常だ。1828年のこと。その年 のうちに、市はマンハッタン の刑務所にいた囚人を労 働力にし、島中央にブラッ クウェル刑務所(男性用5 00房、女性用256房) の建設を始めた。以降、1 850年代にかけてが、建 設ラッシュとなった。ラー著)に記録されている。   1841年、島北部にオ ープンした市営精神科病にフォーカスして紹介。今週は、市がブラックウェ ル家から島を購入してからの開発を振り返る。院「NY Lunatic Asylum」 は、その最たる例だろう。  今でこそ高層ビルが林 市に住む者なら漠然と知っ 立し、新しい大学施設まで ている、この島の歴史だ。 が建設中と、明るい話題満載のルーズベルト島だが、 最初の刑務所は1828年 かつては犯罪者や精神障害  市政府は、これらの施設 とそれを集約させた島を、先日公園で おじい 時間つぶしで さんが ぼんやりしていた ふん水に 時...ふん水に近づいてみたら 真中の小さなくぼみにイーストさん・ 会社員NYって いろんな 人が いますね 〜  その対策として市が行ったのが、マンハッタン周辺の島々を買い取り、刑務所や病院といった特殊施設をそこに集約することだった。   ちなみに、この時期に建 どう考えても「島流し」の てられた島の刑務所や病 発想なのだが、当時の市の 院の建築材料は、島の岩盤 言い分は、「静かな島なら、 である花崗岩。昔の建物が 病人や犯罪者にとって〝健 皆そうであるように、造り 康的〞な環境だろう」と。物 は頑丈で、建築物としての は言いようである。 美しさはまさに芸術の域だ今ものその美しい八角形の 中央棟は、高級レンタル住 居ビル「オクタゴン」のエン トランスとして残っている。 外観が美しいだけでなく、 5階吹き抜けの大規模な 螺旋階段など、内装建築も 一筆に値するものがあった。 この芸術的建築物に、当時 は重篤な精神障害者が収 容されていた。「囚人や患者にとって健康   市が真っ先に買ったの ったと、著書「The Other 的な環境」として、イメージ 者、感染病患者らを隔離す   1820年代前半にな が、ルーズベルト島(当時の Islands of NYC」(シャロン・ 的美化を図った。しかし、実 る場所だった。ニューヨーク ると、ニューヨーク市は全 ブラックウェル島)だった。 セイツ&スチュアート・ミ 態は真逆。何しろ刑務所を向かって ペニーを何かを投げ続けていましたハトに 入れ えさをあげてる ようと ように見えないし してた ふん水に ようです。 魚でもいるのかなあ...芸術的建築、その実態は...建てる労働力も囚人なら、 この後続々とオープンする 囚人用医療施設の看護師 らが、元囚人といった具合 に、実質的な「島流し」だっ たことは明白だ。  1842年、イギリスの 作家チャールズ・ディケンズ が、この精神科病院を訪問 したことがあった。美麗な る建物に詰め込まれた患 者が、「虚ろな目で館内を 徘徊するその様は、地獄絵 だった」と、旅行記「アメリ カノート」につづっている。(佐々木香奈)「ひまつぶし」高嶋リカManhattanEast Riverルーズベルト島読者からのストーリーを募集!自分のニューヨーク体験をマンガにして もらいたい人はreader@nyjapion.comまで。©AOZORA ARTトラム 地下鉄Fルーズベルト島北部にある高級レンタル住居ビル「オク タゴン」エントランス。かつての精神科病院の中央棟八角形のタワーはエントランスで、その南に立つのが新 しい住居棟。住人専用のテニスコートもあるオクタゴンQueens


































































































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