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29|Vol. 857|Friday, March 25, 2016 月一連載(謝る・優しくなる)第95回 見落とされがちな兄弟姉妹間のDV DVと聞いて、兄弟姉妹間での暴力を想像する人は少ないの ではないでしょうか。実際には、兄弟姉妹間でのDV(身体的・性 的・精神的・経済的暴力を含む)の方が、親による子供の虐待 や、夫婦間のDVよりも高い頻度で起きていると言われていま す。未成年が起こした性犯罪の4割が兄弟姉妹間で起きている ほか、ある大学の調査で、女生徒の15%、男生徒の10%が「兄 弟姉妹から性的暴力を受けたことがある」と答えています。  しかし、これらが明るみに出にくい背景には、1親が自分の子 供同士のDV行為をただのけんかだと過小評価する、2親の不 在中にDV行為が起きているために気付かない、3加害者側が 被害者側に口封じをする、4被害者が加害者をかばって親に 告げない、5被害者に被害者意識がないーーなどの理由が報 告されています。性的暴力の場合、背景はさらに複雑化します。 望んだ性行為ではなくても体が快感を覚えるため、被害者自身 が自分もその行為を望んでいたのだと自分を責め、通報に至る 確率がさらに低くなるのです。  兄弟姉妹間のDV被害者への影響は、不眠症、自尊心の欠 如、恥や罪の意識にさいなまれる、対人関係がうまくいかなくな る、摂食障害、薬物依存、性機能不全など。兄弟姉妹間のDV は深刻な問題です。親御さんは、子供間の過度な暴力や、偏っ た力関係に気付いたら黙認せず、仲裁し、問題の原因を理解 し、解決法を子供と一緒に探してください。問題が自分の手を超 えるようなら、専門家に相談されることをお勧めします。永尾香織/カウンセラーNew York Asian Women's Center (NY市在住アジア系女性のためのDV被害者保護団体)沈黙を 3ハネムーン期破るDV ー 家庭内暴力TEL: 1-888-888-7702(「Japanese please」と伝えること)サービスは無料Email: japaninfo@nyawc.org(日本語・英語) www.nyawc.org1緊張期 (非難・口論)2暴力期 (身体的・性的・精神的)NHK出版から転載している 「ためしてガッテン」著作権の都合により、不掲載となります。


































































































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