Page 4 - NY Japion
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                す。アメリカのシステムを、 た。その上で母校・慈恵医 いかと考えた」のだという。  小児科・臨床遺伝専門医 として、マウントサイナイ 病院で先天代謝異常症の 治療に携わる大石公彦さ ん。アメリカでは、約 種 類の先天性疾患の早期発 見と治療が、各州レベルで システム化されている。全 ての新生児を対象に、スク リーニングが公費で実施さ れているのだ。者の会」から相談が持ち込 まれた。 年3月には国会 議員会館で、遺伝医療にお ける日米の異なる現状の報 告を行うなど、アメリカで 学んだことの日本への還元 に務めた。 年 月には中 国でも小児科医を対象に 講演している。  社交的な性格も手伝っ て、日米医療の架け橋的な 役割を担うことが多い。「あとは書類にサインする だけ」と言う。同制度で日 本に行く医師に、三井US Aから、米国日本人医師会連れて赴任する日本人駐 在員が多い中、日米で異な る小児科医療について、日 本の小児科医に情報を提 供しましょう」と出版社に 売り込んだ。結果、 年か  アジア諸国が遅れをとっ ている分野でもあり、アメ リカの現状を知りたいと、 2015年には日本の「患な実績を残し、しかも日米 「これを機会に」と、自費で の小児科分野で役に立てな            んだ。日本滞在中は、日本 について新しい発見や気づ きも多かったという。その ときの経験が、翻訳の仕事 にも生きている。手 放 し で 喜 べな かった の は、自分より高評価を受け た応募者がいなかったか ら。翻訳者全体のレベルア ップのため、「みんなでもっ とがんばろう」とハッパを 掛ける。  「私たちは、言葉でアイデ アをシェアします。力のある 人間が言葉を悪用すれば、 それだけ被害も広がりま す。翻訳者の一人として言 葉の悪用を許さず、真実を 伝える重要さを守る活動 にも取り組みたい」と、新た な挑戦にも意欲的だ。大石公彦さん(医師)日本を含むアジア諸国で 役立てられるよう、今後も 患者、医師、企業、政府レベ ルでの働き掛けを続けてい きたい」と話す。大と交渉し、結果的に同院   アメリカからの情報発 と慈恵医大の医師交換研 信の手段として、医学雑誌 修制度設立にこぎ着けた。 に目をつけ、「小さな子供を  先天代謝異常症は、放置 すれば命にかかわることも ある。大石さんは、「早期発 見・治療により、失わずに 済む命を守り、発達障害な どの後遺症も予防できま彼らがアメリカで学術的  年4月8日(土)には、 第3回JMSAサイエンス フォーラムも開催される。サム・ベットさん(翻訳者・通訳者)  日本の文化庁が主催した翻訳コンクールに応募し、 年1月、最優秀賞を受賞。日本語の小説とエッセーを英訳し、「溌剌(はつらつ)とした翻訳」「作品の詩情を見事に捉えた」など、 で人形浄瑠璃文楽を学ぶ 審査員から高い評価を得 外国人向けプログラムに参 た。受賞の感想を聞くと、 加した。日本語の学習はも  「文芸作品の翻訳は、作 家が作った作品の世界に入 らなければできません。作 品の背後にある〝歯車〞を「うれしかったんですが、ち ちろん、地元の人と交流 ょっと悲しかったですね」と し、日本の伝統文化を体験 意外な答えが返ってきた。 したいと思ったからだ。兵  アメリカ人が接する日本文化はごく限られていて、誤解が多いとも感じている。「ある国の文化を、言語も文化も違う国に伝え ている。 いますね」 る責任が翻訳者にはあり  マンハッタンの技術系翻 庫県の関西学院大学にも 訳会社に勤めるサム・ベッ 1年間留学し、日米の大学 トさん。平日の夜と週末は で日本語と日本文学を学ます」とベットさん。翻訳コ ンクール最優秀賞受賞をフリーの翻訳者兼通訳者 として、主に日本の文芸作 品やアート、ファッション関 係の仕事をしている。  年は、三島由紀夫の小説を英訳した作品がアメリカで発売される。ベットさんが手掛けた文芸作品 の中では、これが初めてだ。  「どこに行っても面白い 日本の文芸雑誌「モンキー ニューヨークは、散歩に最 ビジネス」のアメリカ版に、 高の街です。友達と話すの 翻訳コンクール受賞作品 も歩きながらが一番楽しい が掲載されることも決まっ し、散歩は一生続けると思  初めて日本に行ったのは 大学2年の夏休み、長野県(原作と)同じように組み 立てながら、表面的な文章 の美しさも考えます」  リラックスしたいときは 散歩する。  「年明けにも実現しそ う」なのが、日米間の医師の 交換研修制度だ。 年は勤 務先のマウントサイナイ病 院で、小児科・遺伝学研修 医プログラムのアソシエー ト・ディレクターに就任。(JMSA)経由で奨学金 も出ることになった。上司(プログラム・ディレクター)の航空券を購入し、 〝計画〞を見切り発車させ  まだある。大石さんが、 ら医学雑誌「小児科臨床」 米北東部在住の日本人小 で連載が始まった。執筆は 児科医の会を作ったのが 日本人小児科医の会の若 年。「若い医師が多いので、 き医師たちだ。サム・ベットさん マサチューセッツ大 学で英 米 文 学 と日本語の学士号取得。2008年 尼崎日本語スピーチコンテスト優 勝、小川洋子著「涙売り」他1作を 英訳し16年翻訳コンクール(文化 庁主催)最優秀賞受賞。日本語能 力試験第1級取得。翻訳者兼作 家の朗読会も主宰する。Best Bettsam@bestbettjapanese.com www.bestbettjapanese.comUs&Themwww.usandthemreading.com大石公彦さん日米 両 国 の 小 児 科・臨 床 遺 伝 専 門医師。東京慈恵会医科大学卒 業後、小児科勤務を経て1998年 来米。小児遺伝病や先天代謝異 常症の臨床と研究に従事。2015 年 か ら 、医 療 と 他 分 野 を つ な げ る 一般向け科学セミナー「JMSAサ イエンスフォーラム」を始める。日本 小児科学会専門医師。Icahn School of Medicineat Mount SinaiDepartments of Pediatrics, Genetics and Genomic Scienc- es1 Gustave L. Levy Pl.TEL: 212-241-6947(遺伝科代 表番号)162016年3月に東京で行われた翻訳コンクール受 賞式にはアメリカから駆け付けたマウントサイナイ病院で先天代謝異常症の患者と 一緒に。毎年NYCマラソンにも参加する大石先 生。2016年は患者支援プログラムへの募金のた めに走り、3000ドルを寄付した16Sunday, January 1, 2017|Vol. 897|04 COVER STORY501716 101614 1716


































































































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