巻頭特集

野球の魅力を今こそ語り合おう!

日本人アマチュアリーグの歴史を紐解く!
JAA外務大臣杯軟式野球大って

36年の伝統を誇る日本人草野球リーグ、JAA外務大臣杯軟式野球大会。

1986年に発足してから今年で35回目を数えるリーグだ。前年に中山太郎外務大臣(当時)がニューヨークに訪問し、日系人スポーツの興隆のために大臣杯を贈呈したのがきっかけで、それ以前からあった2つのリーグが統合された。参加チームのメンバーの職業は、日系企業の駐在員、飲食関係、アーティスト、美容系、学生、医師、弁護士など多種多彩。毎年、栄光の優勝カップを目指して10数チームが火花を散らす。

 

発足当時からリーグの運営を見守っている名誉大会委員長の加藤脩治さんいわく、大会のモットーは「NY近郊に住む全ての人を対象にし、国籍、年齢、男女を問わず野球を愛する人なら誰もが自由に参加できる」こと。発足当時は、試合会場の場所取りや荒れたグラウンドの整備に苦労したと言う。

「思い出は数えきれないほどありますが、97年の東京都職員軟式野球チームや女子ソフトボールと行った日米親善試合は盛り上がりましたね」と加藤さん。ニューヨークでこのリーグを経験したOBやOGは、日本全国に散らばっており、今でも固い絆で結ばれているそう。いまだコロナ禍が続く今季も開催が危ぶまれたが、長年、ニューヨーク市との間に築いてきた信頼関係を元に、厳しい感染防止対策を各チームに課して、ようやく開幕にこぎつけた。「ここまで2カ月、無事に試合が続けられたのはみんなの努力の成果です」。草野球の真髄は勝ち負けだけではないという。「35年間続けられたのは皆さんの情熱と協力のおかげ。何よりもうれしく、そして大事なのは野球を通して作ってきた人とのつながりです」と熱く語ってくれた。

jaabaseball.blogspot.com


素晴らしきニッポン野球!
米国人選手いた草野球魅力

左からタイラーさん、オオクボさん、イーライさん。3人ともJAAの軟式野球リーグで日本人と共に活躍している

年齢、国籍、男女の差別のないJAAの軟式野球リーグに興味を持って参加するアメリカ人選手も少なくない。合同チーム「キザル」で今季マウンドに立つタイラーさんもその一人だ。ブルックリンのウィリアムズバーグ出身で、ルームメイトで幼馴染のイーライさんと一緒にチームに加わった。「日本人とプレーする野球は素晴らしいよ! 僕の女房役のオオクボさんはすごい。どんな球だって絶対に捕球するんだから!」とタイラーさん。また試合だけでなく試合後の親睦会も楽しみだと言う。「今週末はゲームの後、僕らの家にみんなを招待してタコパ(タコ焼きパーティー)をするんだ」と声を弾ませる。

「じゃんくす」の主砲でショートを守るロスさんも5歳から大学まで続けていたという無類の野球好き。「じゃんくすはメンバーがみんな面白くてタノシイ!」と日本語で答えてくれた。


ランドールズ島行ってみよう!

Photo by Randall’s Island Park Alliance

日本人草野球リーグの試合会場の一つであるイーストリバーに浮かぶランドールズ島は、マンハッタンとクイーンズ、ブロンクスの間に位置する島。長い間、孤児院や隔離病棟のみが建つ孤島だったが、1936年に当時のニューヨーク市土木部長ロバート・モーゼスの肝入りで一大市営スポーツセンターが開設された。島内には50面近くある天然芝野球場のほか、サッカー、ラグビー、ラクロス、ホッケー、陸上などの競技場がひしめく。64年の東京五輪の陸上代表選考会もこの島で行われたそう。紺碧の空の下、遠景に摩天楼を見渡し、芝の上で球技を楽しめるのは、ニューヨークならではだろう。夏の週末、ピクニックの用意をして観戦に行くのもいいかも。

 

Randalls Island

マンハッタン125丁目から、
市バスM35に10分ほど乗車

 

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