心と体のメンテナンス

歯科インプラントの基礎知識(前編)

った歯の機能を回復
治療は長期的に計画を

Q. 科インプラントとは何ですか?

A.

例えば人工関節や心臓のペースメーカーなど、医療目的で体内に埋め込む機器を総じてインプラントといいますが、歯科インプラント(dental implant)もその一つです。

歯は、口の中に露出した部分の「歯冠」と、歯冠より下の部分の「歯根」からできています。歯科インプラント(以下インプラント)とは、金属製の人工歯根です。歯がない場所、あるいは抜歯後に、顎の骨に埋め込み、失われた歯根の代わりとして使います。

 

Q. インプラント治療とは?

A.

ひどい虫歯や歯周病、けがなどによって抜かざるを得なくなった歯を、歯根ごと人工歯で置き換える治療です。顎の骨にインプラントを埋め、その上にクラウンや入れ歯を装着します。「かむ」という歯の機能性を取り戻し、見た目にも自然な審美性を回復することができます。

インプラントは、チタン製が使われることが多く、ネジの形をしています。骨に埋めるので、入れていることが見た目に分かりません。

インプラント治療は、1〜数本歯を失った場合から、上顎、下顎の歯を全て失った場合まで、幅広い症例に対して行われます(後編で説明)。例えば、入れ歯が口の中でグラグラする、すぐに外れて困っているという人は、インプラントを複数本埋めて入れ歯を支え、安定させることができるかもしれません。良くかめる歯は、生活の質の向上につながります。

生まれつき歯の本数が足りない、あるいは永久歯が生えてこなかった人の場合も、インプラント治療によって歯の機能を補うことが可能です。

 

治療部位のレントゲン写真とCT画像を専用ソフトウエアに取り込み、インプラント埋入位置や角度、深さなどを決める(写真提供: メイ先生)

Q. インプラント治療はどのような手順で行われますか?

A.

初めに、全身の健康状態や治療中の病気の有無を問診します。その結果、インプラント治療を安全に受けられることが確認できたら、口全体のレントゲンを撮影し、歯周病検査を行い、インプラントを埋める場所の骨の量と密度、かみ合わせ、歯茎の状態などを調べます。場合によってはコンピューター断層撮影(CT)検査を行い、神経や血管の位置などを確認します。

これらの情報を基に、治療の目的、予算、健康状態などを考慮した上で、インプラントの本数、埋入する位置と角度、深さ、治療期間などを含む治療計画を作成します。一言でインプラントといっても、種類が豊富にあるので、患者に応じて適切な長さや幅のものを選びます。

インプラントを1本埋める単純なケースでは、まず手術によって歯肉を切開し、歯を失った部分の顎骨にドリルで穴を開け、インプラントを埋入します。インプラントと骨が結合して安定するのを待ってから、インプラントの上にクラウン(被せ物)などの人工歯を装着します。治療部位や骨の状態にもよりますが、埋入したインプラントが安定するまで平均3カ月程度かかります。

治療部位の骨の量が不十分な場合は、骨を作る骨造成治療が必要になることがあります。抜歯の際、またはインプラント埋入手術の際に、抜歯後にできた穴に治療用の骨の粉末を入れ、骨形成を促します。

 

Q. インプラント治療前の準備とは?

A.

骨造成治療の他にも、虫歯や歯周病があれば治療しておきましょう。特に歯周病が原因で歯を失った人の場合、歯周病を起こしたのと同じ細菌がインプラント周囲の組織に感染し、再び炎症を起こす可能性があります。最悪の場合、インプラント周囲の骨が失われ、インプラントを支えきれなくなるかもしれません。

経済的または時間的制約から、事前にこれらの治療が難しい人もいるかもしれません。その場合も、治療部位周辺の歯と歯茎の問題だけは、最低でも治療しておくことを強くお勧めします。

やむなく後回しにした問題も、そのまま放置せず、悪化する前に治療を始めるようにしましょう。

治療部位の抜歯から何年も時間がたつと、隣の歯が傾いてくるなどして、インプラント埋入とクラウン装着の場所を十分に確保できなくなる場合もあります。そういうときは事前に隣の歯を動かす矯正治療をすることで、より良い結果を期待できます。

 

※次回はインプラント治療の例や、治療後のケアについてお聞きします。

シェリー・メイ先生
Sherry Mei, DDS

歯科医師(DDS=Doctor of Dental Surgery)。Implant & Cosmetic Pro-sthodontics院長。
ストーニーブルック大学歯科学校卒業後、ニューヨーク病院歯科補綴学・インプラントセンターで補綴歯科特別訓練、ニューヨーク・プレスビテリアン病院で研修修了。
虫歯治療、補綴歯科(クラウン、ブリッジなど)、歯科インプラント(インプラント埋入手術とクラウン装着)、審美歯科、インビザライン、根管治療などを手掛ける。

 

 

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1130

今年は75周年のメモリアルイヤー! NBAを見に行こう!

レギュラーシーズン開幕から約1カ月。創設75周年を迎えたNBAは、今季ならではのイベントが盛りだくさんだ。今、話題のNBA系YouTuber、Rikuto AFさんとニコラス武さんの解説と共に、その魅力を紹介する。

Vol. 1129

NYC新市誕生! エリック・アダムス氏を解剖

2日に行われたニューヨーク市の市長選で民主党のエリック・アダムス氏が当選し、次期ニューヨーク市長に就任する。エリック・アダムス氏とはどんな人物なのか? そして今後のニューヨークはどう変わるのか?

Vol. 1128

ビザ最新情報 2021秋冬版

2023年度DV(移民多様化)抽選永住権の米国務省受付が、9日正午で終了した。今号では、H、E、L、Oビザなどの非移民ビザや永住権に関する最新情報を紹介する。

Vol. 1127

今年は何する? もうすぐサンクスギビングデー!

いよいよサンクスギビングデーがやってくる。今年は例年のパレードも復活し、感謝祭ディナーに大セールと楽しいイベントがめじろ押し。日本人にはなじみない文化とはいえ、せっかくアメリカに住んでいるのなら目いっぱい楽しまなきゃ損! 今号はそんなサンクスギビングを存分に満喫するための情報をお届けする。