指導者に魅せられて ジャズへの熱意を学ぶ

ジャズピアニストで作曲家のバリー・ハリスさんが主催する「バリー・ハリス ジャズワークショップ」。ミッドタウンウェストのクラスに集まったおよそ50人の参加者たちが、ジャズアンサンブルの経験を積み重ねている。

今年90歳になるバリーさんは、独自のメソッドによるビバップ(1940年代に起こったジャズの新しい流れ)の演奏法の指導を世界各地で行っている。

「ワン、ツー、ワン、ツー」。クラスの中心でピアノに向かうバリー先生に視線が集まる。練習では主にバリーさんが50年前に編曲した楽譜を使っているが、指導は耳で学んでいく。

参加者はまずバリーさんが弾いたメロディーをそのまま弾いた後、今度は別のアレンジで弾いてみる。もしそのアレンジの方がよければ、「うん、そっちの方がいいね」とどんどん変更。ここでの練習は、みんなでより良いハーモニーを作り上げていく共同作業だ。

 

ジャズへの熱意を絶やさないバリー先生

通常はウオーミングアップのセッションから始めるそうだが、この日はピアノに向かった先生が、いきなり曲を作り始めた。学生からプロ奏者まで含むオーケストラの参加者は、バリーさんが作り出したメロディーを即興でアレンジしていく。管弦楽とピアノ、さまざまな楽器が音を重ねていくうちに、その場で新しい曲が完成した。

「こんな感じで、どんどん新しいメロディーが生まれていくんです」と言うバイオリニストのファーグソンかつみさんは、「バリー先生は、素晴らしい指導者であり奏者です。人種も年齢も関係なく、誰にでも分け隔てなく接する人柄を、みんな尊敬しています」と続ける。

コーラスの参加者は、オーケストラの演奏と一体となり、英語のリズムから生まれたとも言えるジャズ音楽を歌う。著名なバリーさんのクラスとあって、見学するだけの人も多く、その指導風景を楽しんでいる。

家族全員がジャズミュージシャンというピアニストのブロック智子さんは、「バリーさんは誰にでもオープンで、本物のミュージシャンであり教育者。その真摯(しんし)な姿勢にいつも感動しています」と話す。

娘のミミさんは、特別音楽学校で歌とバイオリンを学ぶ高校1年生。「バリー先生が作曲した曲を初めて聴いた時、その美しさに感動して涙が止まりませんでした。私のような若い世代が、先生の音楽に対する姿勢や考え方を引き継いでいく責任を感じます」と熱く語った。

15年以上クラスに通うボーカリストの元津真紀さんは、「大家族のようなクラスで、バリーは厳しいけれど公平で愛情深い理想のお父さんのような存在です。そしてビバップの継承に命を懸けているミュージシャンです」と話した。

素晴らしき指導者に惹(ひ)かれ、ジャズを愛するニューヨーカーたちが集まっている。

 

 

16歳から90歳まで、世代を超えた参加者が集まっている

 

バリー・ハリスさん●1967年からワークショップをやっていますが、ビバップを教えて人を育てていくことは私の夢であり、まさに50年の集大成といえます。日本には76年にワークショップで訪れたことがあるので、親近感があります。「美しい」という日本語の響きはとてもきれいですね。クラスには日本人の生徒も参加していて、みんな仲良く練習を続けています。

 

Barry Harrys Jazz Workshop

毎週火・水・土曜日に、二つのスタジオ(244 W. 54th St., 10th Fl./625 W. 55th St.)にて不定期で開催。
日程や場所はウェブサイトを参照。

【問い合わせ】
bopjazzstrings@gmail.com(かつみ)/barryharris.com

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