みみ先生の日本語子育て

その20 難易度の高い日本語もじっくり教えていく

現地邦人の子どもたちに向けて日本語教育を行っている皆本みみさん。「みみ先生」からニューヨークでの日本語教育について大切なことを伝えていく連載。


子どもの時の「言葉」の勘違いには、面白いものがあります。おそらく、皆さんにも、とびきり笑える勘違いがあるのではないでしょうか。

私の場合、童謡『赤とんぼ』の歌詞の中の「負われてみたのは……」を、「追われてみたのは……」だと、長きに渡って思い違いをしていました。誰かに追いかけられたんだなって。

さらに、もう一つ。当時ラジオのニュースで、「電車が不通になりました」と流れることがあると、「電車が普通になりました」と解釈していました。いつもは速い電車が、何かの関係で「普通」に走るようになったんだなって……。言い訳のようですが、これは私の地元の八丈島には鉄道がないからで、なかなかイメージができなかったからだと思います。

大人でも間違えやすい同音異義語

このように、日本語には「同音異義語」がたくさんあるので勘違いも多いのでしょう。「同音異義」という言葉自体子どもはよく間違えますが、うっかりすると、大人でも間違っている人を時々見かけます。いかがでしょうか? まさか「異義」を「意義」とは書いてはいないでしょうか?

また、私の生徒さんは、5才児でもせいざ(正座)とせいざ(星座)の漢字が区別できる子もいます。早めに漢字の学習をすれば、子どもたちはいくらでも吸収してくれるのです。学校では、1年生で80字、2年生で160字の漢字を学習しますが、一字一字の意味を説明しながら指導することが重要です。

臨場感が言葉を覚えるのに役立つ

また、ニューヨークで日本語を教える時、日本にしかない物を説明するのに困ることがありました。本や写真を見せて説明するのですが、子どもたちにはピンとこないようでした。そこで、娘たちの場合は、年に一回の帰国時がチャンスとなりました。実物を見せながら言葉を教えることができるからです。

例えば、アメリカにはクローゼットはあっても「押し入れ」はありません。「鴨居」「床の間」「敷居」「三和土(たたき)」「屏風(びょうぶ)」「欄間(らんま)」……、このような言葉を、実物を見せずに説明するのは容易ではありません。まさに「百聞は一見に如かず」です。

他にも、日本地図を広げて地名を教えたり、花の名前などを日本語と英語で言ってみるようにしました。もちろん、アメリカにも地図や花はありますが、やはりその土地にいるということ、その土地で咲いているものを見ているという臨場感は重要です。

子どもたちが間違えやすい言葉は、他にもいろいろとあります。例えば、ピヤノ(ピアノ)、おうかみ(おおかみ)、ライヨン(ライオン)です。子どもたちは親からの言葉を音で捉えています。基本の「あいうえお」をしっかり発音させ、早い時期からひらがな、カタカナを書けるようになると勘違いの発見も早くなります。

日本語は世界でも難易度の高い言語だと言われています。正しい日本語を習得するのは、日本にいる日本人でも難しいのかもしれません。ましてや外国で育つ子どもに教えようと思ったら、かなり本気にならなければならないようです。

※このページは、幻冬舎ルネッサンスが刊行している『ニューヨーク発 ちゃんと日本語』の内容を一部改変して掲載しております。

 

皆本みみ

1952年、東京都八丈島生まれ。
79年に来米。
JETRO(日本貿易振興会)、日本語補習校勤務を経て公文式の指導者となり、シングルマザーとして2人の娘をニューヨークで育てる。
2007年『ニューヨーク発ちゃんと日本語』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓。
現在もニューヨークで日本語の指導者として活動中。

 

 

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