みみ先生の日本語子育て

その15 漢字を習う前に 書く力を付けさせる

現地邦人の子どもたちに向けて日本語教育を行っている皆本みみさん。「みみ先生」からニューヨークでの日本語教育について大切なことを伝えていく連載。


「ケン・ケン・パ」をやる時、地面に円が描けない子どもがいます。昔の子どもは当たり前のようにやっていたことも、やる機会がなければできなくなってしまうものなのでしょうか。もっともっと体を使った遊びをさせてほしいといつも願っています。

良い機会なので、私が子ども時代に遊んだ遊びを少し紹介しますね。私が一番好きだった遊びは、まりつきです。テニスボールくらいの弾むボールを2つか3つ使って、歌いながら足の間をくぐらせたり、ボールの上を飛んだりしました。あとは、だるまさんが転んだや縄跳び、ゴム跳び、ビー玉、メンコ、木登り、かるた、トランプなどなど。毎日たくさんたくさん遊んで大きくなりました。もちろん、わが子にも同じ遊びを伝授しています。

歌もとても大事です。0歳からスタートできます。ぜひ毎日童謡を歌ってください。たくさんの言葉を覚えます。最初は簡単な歌、「ポポポー鳩ポーポー」、「咲いたー咲いたーチューリップの花がー」など、鳩を見かけた時に、またはチューリップを見かけた時に歌ってあげましょう。まずはさまざまな日本語の単語で話し掛けることです。

さて、漢字を書くのに必要な力はなんでしょう。それは、運筆力と筆圧です。もちろん、その漢字を知っているという「知識」がなくてはなりませんが、知っていてもこの力がなければ、漢字というものは書けません。つまり、鉛筆を動かす力「運筆力」と書く時に手首や指先にかかる力「筆圧」が大切なのです。

これらの力を付けるためには、幼い時からの訓練が必要です。つまり、見たものの情報を脳に伝えて手を動かす作業です。これを繰り返すことです。

例えば、三角形を2つ重ねると六角の星を描けますが、線で仕切られた内側にさまざまな色を塗っていかせるというのも訓練になります。これは、子どもにとっては大変な集中力を要しますが、こういうことを十分にやってこそ、将来しっかりと漢字を書けるようになるのです。

他に注意してあげることは、鉛筆の長さです。子どもが小さい時は、あまり長い鉛筆は持たせない方がいいでしょう。極端な話、鉛筆を2つに折ってでも、短くしてあげなくてはなりません。鉛筆の先に消しゴムだけでなくいろいろなものが付いているものは重くなってしまうので、小さなお子さんには向きません。

逆に、簡単に書けてしまうマーカーも適していません。書く力が付かないからです。トレーニングの意味もあるので、しっかり文字の書ける鉛筆や色鉛筆などの筆記用具を使わなくてはなりません。シャープペンシルやボールペンもそういった意味で向きません。

また漢字は、ただ覚えるだけではいけません。やはり、どんなことでも応用させてこそ、覚えた甲斐(かい)があるものです。そこで子どもたちにやってもらっていたのが、日本の親戚に手紙を書くことでした。これは、4歳くらいからでも始められます。

スマホが普及した現代、あえて手紙を書かないからこそ、子どもたちに手紙や年賀状を書かせてみてはいかがでしょう。

「おじいちゃん、おばあちゃんへ。○○より」。

はじめは、これだけでもいいのです。それから、「大好きなおばあちゃんへ」と少しずつ言葉を増やしていきます。慣れたら、宛名もちゃんと書かせます。手紙を出す相手は、ちゃんと返事を書いてくれる人がいいでしょう。返事が来れば子どもだってうれしいですし、「よかったね。漢字が書けるから手紙が届いたんだものね」と、親としても、うれしい言葉をかけることができます。

※このページは、幻冬舎ルネッサンスが刊行している『ニューヨーク発 ちゃんと日本語』の内容を一部改変して掲載しております。

 

 

 

 

皆本みみ

1952年、東京都八丈島生まれ。
79年に来米。
JETRO(日本貿易振興会)、日本語補習校勤務を経て公文式の指導者となり、シングルマザーとして2人の娘をニューヨークで育てる。
2007年『ニューヨーク発ちゃんと日本語』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓。
現在もニューヨークで日本語の指導者として活動中。

 

 

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mimisenseiteacher@gmail.com

 

 

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