みみ先生の日本語子育て

その14 わが家のルールを作る

現地邦人の子どもたちに向けて日本語教育を行っている皆本みみさん。「みみ先生」からニューヨークでの日本語教育について大切なことを伝えていく連載。


外に出て、公園でも道路でも平気でごみを捨てる人がいます。ふるさと日本の、嘆かわしい現状です。

2001年に「家電リサイクル法」が施行され、エアコンやテレビなどを新しく購入するときは、リサイクルのための料金を支払うようになりました。本来は、法律なんて作る必要はなかったのでしょう。一人一人のモラルが低下したために、このような法律で人を規制しなくてはならなくなったのです。

わが家では、娘たちが外出する時には必ずポケットのある服を着せていました。ごみ箱があればごみはそこに捨てさせますが、ない時は自分のポケットに入れて持ち帰らせるのです。

母も私が子どもの頃、いつもポケットの付いた服を着せてくれました。親子2代の習慣です。

公の場を区別させる

さて、しつけということで、こんなことがありました。娘がまだ幼い時の出来事です。わが家にやってきた男の子は、野放し状態でした。そしてその子のお母さんは、「うちの子は自立心が強い」と自慢げに話すタイプでした。

この子は、私の家の中の物をいろいろといじっていましたが、最後にステレオをいじり始めました。その時、その場にいたお母さんはにっこり微笑んで言ったのです。

「うちの子は将来電気屋さんになるんじゃないかしら」と。なんて大らかなんでしょう。そ、そうじゃないって! これはそんな問題ではないでしょう。もう開いた口がふさがりませんでした。確かに将来、電気屋さんになるためでもなんでも探求心を持つということは大切なことだとは思います。しかし、自分の物と他人の物が区別できていないというのは大きな問題です。

これを許すと、公共の場でもごみを平気で散らかす子どもになりかねません。なぜなら、自分の家と公の場所の区別ができていないからです。

バス停や駅の改札などで順番を待てない人、電車内で大きな声で話をしている人、スーパーマーケットで必要以上のポリ袋を持っていってしまう人、ホテルなどに宿泊するとサービス品以外の物も持ち帰ってしまう人……。挙げたらきりがありません。中には、犯罪と紙一重というものもあります。

大人の意識から見直していく

最近子どものしつけをする前に、親のしつけが先ではないかと感じます。そして親のしつけはつくづく難しいということも……。

しかし、そうは言っていられません。ここは、気を取り直していきましょう。最近は、犬や猫のしつけに関する本が数多く出版されています。犬や猫を育てるのも大変なのですから、人間の子どもとなったら、もっと手が掛かるのは当然です。まずは、「わが家のルール」といった家訓を、それほど堅苦しくなくていいですから、ご家族で作ってみてはいかがでしょうか。

子ども一人一人が、この世に意味を持って存在しています。やがて、この子どもたちが成長し、社会をけん引していくようになります。一人一人の意識の高さで世の中は随分と変わるもの。良いエネルギーに満ちた世界になれば、どんなに楽しく、そして、どんなに安心感を持って暮らしていけることでしょう。

そんな社会を実現していくためには、世界中の大人が未来のある子どもたちにかなり気合を入れて愛情を注いでいかなくてはなりません。

※このページは、幻冬舎ルネッサンスが刊行している『ニューヨーク発 ちゃんと日本語』の内容を一部改変して掲載しております。

 

 

 

 

皆本みみ

1952年、東京都八丈島生まれ。
79年に来米。
JETRO(日本貿易振興会)、日本語補習校勤務を経て公文式の指導者となり、シングルマザーとして2人の娘をニューヨークで育てる。
2007年『ニューヨーク発ちゃんと日本語』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓。
現在もニューヨークで日本語の指導者として活動中。

 

 

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mimisenseiteacher@gmail.com

 

 

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