みみ先生の日本語子育て

その11 子どもの「好き」を 発見しよう

現地邦人の子どもたちに向けて日本語教育を行っている皆本みみさん。「みみ先生」からニューヨークでの日本語教育について大切なことを伝えていく連載。


子どもが何を好きなのか、日常の行動の中でそれを見つけたら「ヤッター!」と喜んでいいでしょう。

ところが意外と、子どもがほしがっているサインを見逃してしまう親が多いと思います。お子さんの日常の行動を思い出してください。どんなことに興味を示していますか? ささいなことでもいいのです。子どものやる気を伸ばすきっかけになるサインです。見逃したらもったいない!

例えば、娘たちの場合、本が何冊かある中で、ノンタンシリーズがお気に入りだということがわかりました。何度も読むと子どもは暗記をします。そして、暗記したものを声に出します。まるで本が読めている錯覚を起こします。それがうれしいようで、とても幸福な様子で本にのめり込んでいきました。初めは1行から、1ページ、丸ごと1冊と段階を追って読めるようになると、子どももうれしくてなりません。幼くても自信のようなものが芽生えるのではないでしょうか。次の本、次の本と、次々に求めるようになるのです。このように、「好き」はプラスのスパイラルを生み出します。

「うちの子は赤ちゃんだから、まだよくわからない」なんて言わないでください。0歳児でも、よく観察していれば傾向は必ずつかめます。子どもが好きなことを見つけ、それを大人がうまく引き出せている時は、思わぬ効果が現れるものです。

例えば私の教室では、多動症のためじっと座っていられないお子さんが、2時間でも3時間でも座っていられるようになりました。それは、その子の好きなことを見つけたところから始まったのです。

このような習慣は、3歳までには身に付けさせるようにしましょう。日本には、「三つ子の魂百まで」という素晴らしいことわざがあるように、座っていられるという基本的なしつけは3歳までにできていなくてはなりません。要は、子どもができないのではなく、大人が指導していないからできないのです。そして、もっと悪いのは、大人が子どもの邪魔をすることです。

子どもが遊びに熱中しているところを中断してしまうような声掛けはしてはいけません。子どもは親に遊んでもらいたいものです。一緒に遊んであげられるのなら問題はありませんが、遊べないのだとしたら、それは子どもにとっては空振りになってしまいます。

集中力はこういうところから育てていくことができるわけですから、子どもが遊びに熱中しているところを見たら、声掛けはストップし、そっと見守ってあげてください。

ゲームにベビーシッターをさせない

幼い子どもには、何よりもスキンシップが大切です。おんぶして炊事する。数十年前の日本では当たり前の光景でした。

今は、大人の都合で子育てが行われていることが多いような気がしてなりません。その最たるものがゲームに子どもの相手をさせている例です。2、3歳くらいの子がゲームをやっている姿を見かけたこともあります。なぜ、こんな幼いうちからゲームをさせる必要があるというのでしょうか。今は、子どもの能力を引き出す良質のゲームもありますから、一概に悪いとはいえませんが、親が楽するための道具としかいいようのないものも多いのではないかと思います。

日常生活の中で、痛い思いをしたり、悲しい思いを経験して初めて、人間としての感情が育つのですから。生身の人間と一緒にやりとりしていく中で、自分だけではなく、他人の痛みや悲しみもわかっていくのではないでしょうか。

あまりにも当たり前のことですが、子どもはうんと抱き締める。そして、うんと話しかけて育ててあげてください。人間の一生には「時期」というものがあると思います。生まれてから小学校低学年までは、ゲームに頼らず、外で思いきり遊ばせましょう。

※このページは、幻冬舎ルネッサンスが刊行している『ニューヨーク発 ちゃんと日本語』の内容を一部改変して掲載しております。

 

 

 

 

 

皆本みみ

1952年、東京都八丈島生まれ。
79年に来米。
JETRO(日本貿易振興会)、日本語補習校勤務を経て公文式の指導者となり、シングルマザーとして2人の娘をニューヨークで育てる。
2007年『ニューヨーク発ちゃんと日本語』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓。
現在もニューヨークで日本語の指導者として活動中。

 

 

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