みみ先生の日本語子育て

その8 良い習慣は最初が肝心

現地邦人の子どもたちに向けて日本語教育を行っている皆本みみさん。「みみ先生」からニューヨークでの日本語教育について大切なことを伝えていく連載。


ニューヨークの小学校には、1年生の前にキンダーガーデン(幼児部)が、併設されています。

保育園や幼稚園は授業料が高いため入園しない子どももおり、こういった子どもたちが集団生活に適応していく上でも、とても重要な役割を果たしている制度です。

さて、学校への適応は、おそらく多くの親御さんにとって最大の関心事ではないでしょうか。どの親御さんも一度は経験すると思いますが、子どもには学校へ行きたがらない時があります。

娘たちにもありました。朝、学校(幼児部)へ行きたくないと言い出したので理由を尋ねると、「頭が痛い」とか、「お腹が痛い」という答えが返ってきました。そういう理由があるのですから、学校を休ませることにしました。

私は、何事も最初が肝心だと思っている人間なので、いつも最初を見逃さない努力をしていました。この時もそうです。娘は、休んでいいと言った途端に表情が明るくなり、すぐにサボりだとわかりました。朝食もきちんと取っていたし、前夜眠れなかったという顔もしていませんから、健康になんの問題もないのは一目瞭然です。

しかし、学校に行けと言わなかったのは、この日が親子にとってチャンスだと思ったからでした。

子どもは、その日一日を自由に過ごすつもりだったのかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。「あなたは病気なのだから」と、一日ベッドから降ろしませんでした。もちろんテレビも見せませんし、食事もお粥だけです。(梅干はつけてあげましたが……)そして娘に言ったのです。「学校へ行ったら楽しかったと思うよ」と。

きっと、子どもも実感したでしょう。学校へ行っていたほうがよかったと。

どんな人でも、その人にできることが与えられています。幼い時から、自分がやらなくてはならないこともできないようでは、大人になった時に自分の世界を狭くする人間になってしまいます。だから、その日は、学校に休まず行くということの大切さを子どもたちにわからせるチャンスとなったのです。

良い習慣を身に付けるためには、何事も継続が必要です。そして、最初が最も重要なのです。

 

その時そこにあるチャンスを生かす

私は八丈島で生まれ、18歳までそこで育ちました。

が、何を隠そう、私は全く泳げません。なぜこんなことをわざわざ表明したかというと、実は、私の子育ての原点がここにあるからなのです。つまり、私は、18歳まで海に囲まれた島にいながら、海には行かず、泳ぐ練習もしなかったために泳げない。言い換えれば、そこにあるチャンスを生かせなかったということになるのです。

その時、そこにあるものを生かすことの重要性を身をもって知っていたからでしょう。私は、これを子育ての基本中の基本に捉えるようになりました。

どこで生まれ育っても、そこでの生き方次第でその人の将来は決まってきます。アメリカで生まれ、アメリカの教育を受けて育つ場合もそうで、たとえ両親が日本人であっても、本人が日本語の地道な勉強をしなければ日本語は身に付くものではありません。日本で生まれ育った私でさえも、日本については知らないことはたくさんあるのですから、アメリカで生まれた子どもたちが日本を理解しながら言語をマスターするということは至難の技なのです。

※このページは、幻冬舎ルネッサンスが刊行している『ニューヨーク発 ちゃんと日本語』の内容を一部改変して掲載しております。

 

 

 

 

 

皆本みみ

1952年、東京都八丈島生まれ。
79年に来米。
JETRO(日本貿易振興会)、日本語補習校勤務を経て公文式の指導者となり、シングルマザーとして2人の娘をニューヨークで育てる。
2007年『ニューヨーク発ちゃんと日本語』(幻冬舎ルネッサンス)を上梓。
現在もニューヨークで日本語の指導者として活動中。

 

 

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mimisenseiteacher@gmail.com

 

 

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