シュワっと真夏のスパークリング酒

暑い夏こそ爽やかにスパークリングの日本酒を楽しみたいでも種類が多すぎて、一体どれを選んでいいか迷ってしまう。そこで、今号ではニューヨークで活躍する日本酒のプロに、トレンドやおすすめのスパークリング酒、また選び方や飲み方についてアドバイスをもらった。(取材・文=古村典子)



カジュアルからハイエンドまで

シーンに合わせて楽しむスパークリング

多様化するスパークリング酒のマーケットトレンドや、シーンに合わせた飲み方について、酒ソムリエでコンサルタントの新川ヘルトン智慈子さんに聞いた。

—スパークリング酒にはどんなタイプのものがありますか?

大きく分けて2種類あります。一つ目は小びんに入っていて、ちょっと甘めでカジュアルに楽しめるタイプ。その中でもびんの中で二次発酵させて泡を発生させるものと、後で炭酸を入れているものがあります。前者はほんのり薄にごりのタイプがほとんどで、びんの中に残った「もろみ」が発酵を促すので、カジュアルに楽しめるとはいえ、本格的な作りです。

二つ目は、シャンパンと同じ製法で作られるクリアなハイエンドタイプのスパークリング酒です。先ほどの薄にごりタイプのスパークリング酒とは違い、本当にクリスタルクリアで泡立ちも美しく、そしてプライスもシャンパンクラスになりますので、高級店での最初の乾杯の一杯としても注目されています。ボトルもシャンパン仕様になっているので、初めて飲まれた方は「これ本当に日本酒?」と驚かれます。特に、awa酒協会認定のスパークリング酒は、ルックス、クオリティーともにハイエンド感ばっちりですので、ラグジュアリー感を出したい時、シャンパンがお好きな方へのギフトとして最適です。

 

—シャンパンと同じスタイルとは?

通常のもろみが入った薄にごりのびん内発酵のお酒を逆さまにして、もろみの部分(オリ)を集め、その部分を凍結させて取り除き、透明の部分のみを残すという製法です。シャンパンとの大きな違いは、ドサージュ(注参照)しないこと。つまり糖類は一切添加されていないことです。

 

ハイエンドタイプのスパークリング日本酒は、美しい泡と、にごりのないクリアな酒質が特徴。「高級レストランの乾杯はシャンパンという固定観念を払拭(ふっしょく)したい」という蔵元たちの熱い思いから、一般社団法awa酒協会(代表・永井則吉)が2016年に設立され、開発が始まった。写真は「千代むすびSorah」

 

—注目のものがあったら教えてください。

カジュアルなタイプのものでしたら、小町酒造の「長良川スパークリング」。ロングランのスパークリングにごりで、最近パッケージのデザインを一新して、ぐっと注目度が高まりました。味は結構ドライですね。それから、楯の川酒造の「楯野川フェニックススパークリング」は、フランスのロックバンド「フェニックス」とのコラボ商品で、こちらはびん内ではなく、タンク内発酵という製法で作られています。喉をいたわるバンドメンバーのリクエストにより、とても優しいスパークリングに仕上がっています。ビギナーにも親しみやすい、ほんのり甘めの味わいです。

ハイエンドタイプのスパークリング酒はアメリカ市場に入ってきて日が浅いので、まだ認知度は低いのですが、「南部美人あわさけスパークリング」「瓶内二次発酵酒あわ八海山」「水芭蕉ピュア」「千代むすびSorah」などが飲めます。

—飲み方やペアリングのアドバイスをお願いします。

カジュアルタイプのものは、カクテル感覚で飲むといいと思います。フルーツジュースを混ぜたりして、ミモザやベリーニのようにしても楽しめます。

ハイエンドタイプのスパークリング酒は、もちろん特別なお酒として乾杯酒で楽しむのがいいのですが、実はペアリングもしやすいんです。味わいがすっきりしていてドライ、そしてクリーンで泡もきめ細かいので、例えばオイスターやカルパッチョなどのアペタイザーはもちろん、スパイシーなお料理や揚げ物にもぴったり。キレがいいのでパレットクレンズにもなり、次の一口がさらにおいしくなります。そういった意味では合わせるものを選ばないお酒です。

(注)ドサージュ=びん内二次発酵でスパークリングワインを作る過程で、糖分の入ったリキュール足し、甘辛度を調整する手法。

 

新川ヘルトン智慈子さん
日本酒マーケティングコンサルティングを専門とするSake Discoveries代表。
酒ソムリエ、酒サムライの称号も持つ。
sakediscoveries.com

 

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