Page 18 - NY Japion
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テーマ ◆ テロメアの不思議(後編)抗老 化 とテロメアの保 護ーゼ」という酵素の働きに ん。テロメラーゼ活性化は よって、細胞分裂後もテロ まだ研究段階であり、単純 メアが短くなりにくいこと に外から摂取すればいいと が分かっています。大人のマ いうわけではないのです。 ウスでテロメラーゼを活性 テロメラーゼ過剰発現マウ 化させたところ、老化現象 スではがんが増えることが の進行が一部抑えられたと 報告されており、副作用に いう研究結果が複数報告 も注意が必要です。日常生活見直しが最重要テロメアと老化の関 係は? 人間の体は、細胞分 裂を繰り返して成長症・心臓疾患・呼吸器疾患 など、高齢者に特徴的な老 年病の発症とテロメアの関 係もしかりです。られています。テロメアが 短いために、さまざまな臓 器に異常が起こります。されました。同じように、 人間でも老化を遅延でき る可能性はあると考えら れます。テロメアを守るため にできることは? 喫煙・活性酸素・紫 外線・過度のストレします。この分裂に重要な   約6万5000人を対 役割を果たしているのが、 象に白血球のテロメアの長  ほかにも、心臓疾患、肺 疾患、肝硬変などの患者 は、健康な人よりもテロメ アが短いことが示されてい ます。テロメアが短いこと が病気の原因なのか、それ とも結果なのかは、一概に は言えません。が、多くの場 合病気になる過程で、臓器 の損傷によって細胞が余計 に増殖(分裂)した結果、テ ロメアが短くなったと考え られます。短くなると、細 胞の分裂が妨げられ、組織 の回復能力が低下すると いう悪循環も予想されまスは、DNAの損傷などを 介し、テロメアの短縮につ ながります。また、肥満は 糖尿病や心臓・血管の疾患 といったさまざまな病気の 危険因子であり、これら病 気の患者もテロメアが短い ことが指摘されています。染色体の末端に位置するさを調べたデンマークの研 究では、同じ年齢でも、テロ メアの長さが下位 %に入 る人は上位 %の人より も、「老化度」が3歳分ほど 高かったようです。最短と 最長のグループの違いが3 年しかないことから、テロ メアが多少長くても短くて も、寿命や老化の速度には それほど大きな影響はな いといえます。  一方、テロメラーゼの活性は、がんの発生リスクを高める危険があります。がんになる前の細胞は、非常に多くの分裂を繰り返します。その分、テロメアが短くなるのも早いので、普通は、がんになる前にその細胞は死滅します。ところが、   常識的なことですが、健テロメアです。  テロメアは、細胞分裂のたびに端から少しずつ短く なります。ある程度まで短 くなると、その細胞はそれ 以上分裂できなくなり、新 しい細胞が作られなくな ります(前編参照)。そうい う意味では、加齢に伴う新 陳代謝の低下に、テロメア の長さも関係している可能 性があります。テロメラーゼによってテロ メアが維持されると、細胞 が生き延びて、がんになり やすくなってしまうのです康で長生きするためには、 まずこれらの危険因子を 避けること。そのためには 健康な食事と生活習慣を 心掛け、運動や家族・知人 との交流を通してアクティ ブに過ごすこと。これらが 何より重要であり、テロメ アを守ることにもなるので す。  近年は、テロメアの長さ (減り具合)から計算する 「老化度」が取り沙汰され  老化は、さまざまな要因 が関与して起こる複雑な す。 現象です。テロメアの短縮 は、その一つにすぎません。(図参照)。実際、人間のが んの %以上でテロメラー ゼの活性が高くなっているています。しかし、テロメア がどこまで短くなると老化 の兆候が見られるかなど は、実のところまだよく分 かっていません。骨粗しょう老化を遅らせること サプリでテロメアを テロメアと病気の関 ができますか? 伸ばせますか?テロメアを伸ばせば、 ことが分かっています。係は? 答えはイエスであり テロメラーゼの補充 ごくまれなケースで ノーです。 や活性化をうたった すが、生まれつきテロ   幹細胞や生殖細胞など サプリが販売されています※来週は、遊馬吉右衛門先 生に目の病気についてお聞 きします。メアが極端に短い病気が知 の一部細胞では、「テロメラ が、科学的根拠はありませ体細胞 生殖細胞 テロメラーゼ細胞の老化、細胞死Friday, December 8, 2017|Vol. 945|18 HEALTHAQ人間の細胞では分裂のたびにテロメア(緑の部 分)が短縮する。テロメアが極端に短くなった細 胞はそれ以上分裂できなくなり、その細胞は死に 至る。一方、幹細胞・生殖細胞など一部の細胞 では、テロメラーゼという酵素の働きによって、細 胞分裂後もテロメアが短くなりにくい(図提供:高 井博士)AQAQ AQ10高井裕之先生Hiroyuki Takai, PhD ――――――――――――――――― ロックフェラー大学研究員。東京大学大 学院理学系研究科修了、理学博士。日 本の国立長寿医療研究センターの博士 研究員を経て2001年から現職。テロメ アが染色体を保護する仕組みを研究。 テロメアに関する論文発表や講演など 多数。INFORMATIONThe Rockefeller University Laboratory of Cell Biology and Genetics1230 York Ave.(at 66th St.) http://delangelab.rockefeller.edu8510AQ


































































































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