Page 26 - NY Japion
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テーマ ◆ 診断と同時に始める緩和医療(前編) 緩和医療で生活の質を改善ど、病気によって引き起こ されるあらゆることが対象 になります。  医療の細分化が進んだ アメリカでは、一人の患者 の治療に複数の科の医師が かかわり、情報が錯そう し、患者や家族が混乱する ことも少なくありません。 緩和医療科医師は、情報の 交通整理係となって患者と 家族の理解を助ける役割 も担っています。根治的治療と並行して実施  第二に、患者や家族との 密なコミュニケーションを 通じた、患者の望む医療の 提供です。医師は、基本的 にコミュニケーションが苦 手です。医学部から研修期 間中を通し、疾患の診断や 治療に関しては十分な指 導を受けますが、コミュニ ケーションの訓練には驚く ほど少ない時間しか割か れていないからです。緩和医療とは何です 態を指します。1年後に自 時提供が可能です。根治的か?宅で機能的に自立して生 治療から緩和治療に切り 活を送れる患者はわずか 替えるわけでも、根治的治 1割と言われ、患者のQO 療をあきらめるわけでもあ Lの著しい低下が問題にな りません。重篤な疾患を抱え  第三に、「トランジショ ン」の検討です。退院が可能 か、可能な場合、自宅、老人 ホーム、介護施設など、ど ういった設定が最適で、ど のような準備が必要かな どについて関係者間で話を 進めます。た患者に対し、その 疾患が原因のさまざまな 症状を取り除き、患者と家 族 の 生 活 の 質( Q O L )を 高めることを目的とした 医療です。っています。  治療は、患者や家族の希望にあったものが提供される べ き で す 。私 が 患 者 と日々接して感じることは、 療科医師は、患者や家族に 緩和医療を取り入れるこ とって望ましくないニュー とにより、闘病中の苦痛が スでも、言葉の選び方を含 著しく軽減されることで め、適切に伝える訓練を受 す。緩和医療による延命効 けています。例えば、根治的 果も、複数の試験で報告さ 治療の効果がなくなり、根 れています(後編参照)。 治的治療中心から、苦痛を  日本で緩和医療というと、実質的にほぼ末期がん患者だけに提供されていますが、アメリカは違います。 される医療」ととらえていがん患者は緩和医療対象 者全体の約半分で、残る半 分は、エイズ、呼吸不全、心 不全、腎不全、認知症、クロ ニック・クリティカル・イルる人は医師の中にも多いの ですが、それは大きな誤解 です。末期患者に提供され る終末期医療は、緩和医療 の一部ではありますが、そ れが全てではありません。緩和医療では何が行 取り除く治療へと治療方 われますか? 針の変更が必要になったとネス(Chronic CriticalIllness=CCI)などです。   本来、緩和医療は終末期第一に、症状の積極します。緩和医療科医師は、主治医から要請があれば患者や家族とのミーティングに参加し、今後の治療 治医をサポートし、ケア全 選択肢や予後などを説明 体の円滑な提供を図るこ します。患者や家族が状況 とも、緩和医療科医師の大 を正しく理解し、納得した 事な役割の一つです。 上で治療方針を決めるこ   とは、最期を安らかに迎え ※来週は、緩和医療の効果 るために非常に重要です。 や課題について伺います。  CCIは、まだ日本であ になってから始めるのでは まり知られない病名です なく、重篤な疾患の診断と が、3週間以上の人工呼吸 同時に、根治的治療と並行 器の装着など、高度な医療 して開始されるべきです や看護によって命は助かっ (図参照)。病名や予後(経 たものの、体力や認知面の 過見通し)に関係なく、根 機能が格段に低下した状 治的治療と緩和治療は同的なコントロールで す。症状とは、痛みや呼吸 苦、治療の副作用などの身 体的問題に限りません。将 来に対する不安などの精 神的問題、収入・仕事・人間 関係の変化などの社会的 問題、存在意義にかかわる スピリチュアルな問題な「緩和医療=終末期 医療」ですか? 違います。従来、緩和 医療は終末期医療  対照的に米国の緩和医と混同され、「根治的治療 が効かなくなってから開始  以上が緩和医療の3本 柱です。緩和医療チーム は、医師を中心に、看護師、 ソーシャルワーカー、聖職 者などによって構成され、 場合によっては理学療法 士、薬剤師、栄養士、ミュー ジックセラピスト、マッサー ジセラピストなどの力を借 りながら提供されます。主診断死亡緩和医療組み込み型モデル従来の医療モデル最後の数週間根治的な治療 緩和医療 (生存期間を延ばす) 終末期医療AQ AQAQ根治的な治療 (生存期間を延ばす)遺族の 悲しみに 対する大間違い!!緩和医療(QOLを上げる) ケア 診断 死亡重篤な疾患の診断と同時に、根治のための治療 と、QOLを上げるための緩和医療を同時に開始 する「緩和医療組み込み型モデル」(図下)が推 奨されている(出典:Lynn J, Adamson DM. Living Well at the End of Life. Adapting Health Care to Serious Chronic Illness in Old Age. Rand;2003より許可を得て改変引用)中川俊一先生Shunichi Nakagawa, MD ――――――――――――――――― 米国内科・老年科・緩和医療科専門医 師(Board Certified)。北海道大学医学部 卒業後、同大学病院の耳鼻咽喉科と第 一外科で研修後に来米。2005~2010 年クリーブランド・クリニックで肝臓移植 と一般内科研修、2010~2013年マウン トサイナイ・アイカーン医科大学で老年 内科・緩和医療フェローシップ研修を修 了。2013年からコロンビア大学医療セ ンター・緩和医療科助教。INFORMATIONColumbia University Medical CenterAdult Palliative Care Services601 W. 168th St., Suite 37(bet. Broadway & Ft. Washington Ave.) TEL: 212-342-4475 http://columbiamedicine.org/divisions/ pc/pc.shtmlFriday, May 19, 2017|Vol. 916|26 HEALTH


































































































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