<4月22日は国際アースデー> 今こそ立ち上がろう 環境保護サポート

4月22日はアースデー。それは、地球が直面する深刻な環境問題に注目を集め、行動を起こすことを目的とした日。気候変動や海面上昇、異常気象などがますます深刻化する今、この日に合わせて世界各地でさまざまな団体や企業がその危機に歯止めをかけるためのアクションを起こしている。この機会に改めて、今向き合うべき環境問題について考えてみよう。(取材・文/伏見真理子)


気候と環境を守ろう 地球規模のクリーンアップ

今年の4月22日(火)で55回目を迎えるアースデー。今年は「私たちの力、私たちの惑星」をテーマに、世界中の全ての人が再生可能エネルギーの下で団結し、2030年までに世界のクリーン電力の発電量を3倍にすることを呼び掛ける。今回はアースデーの歴史や使命について学ぼう。

演説するゲイロード・ネルソン上院議員

─アースデーの歴史

ウィスコンシン州選出のゲイロード・ネルソン上院議員は長い間、米国の環境悪化を懸念していた。そんな中、1969年1月、カリフォルニア州サンタバーバラで石油流出事故が発生。学生の反戦運動に触発されたネルソン上院議員は、その学生の持つエネルギーに、空気と水の汚染に関する新たな国民意識を吹き込みたいと考えた。そこで、大学構内でのティーチインの構想を全国メディアに発表し、環境保護に熱心な共和党下院議員ピート・マックロスキーを説得して共同議長に就任させた。

70年、ネルソン上院議員は、より広く一般大衆に広めるために、活動の統括役として当時ハーバード大学院生だったデニス・ヘイズ氏を採用し、全米各地の市街地に働き掛けた。そこで、学生の参加を最大限に高めるために、春休みと期末試験の間の平日である4月22日を選び、それがアースデーの誕生となった。当時、米国の全人口の10%に当たる2000万人が参加し、イベントは大反響を呼んだ。現在では、世界175カ国、10億人が参加し、気候危機や大気汚染、森林伐採など、地球が抱える深刻な環境問題と向き合うムーブメントとして認知されている。

同じ思いを持った米国国民約2000万人(当時の人口の約10%)が「地球の将来を守ろう」と全米各地でデモ行進した

─これまでの功績

アースデーをきっかけに、米国では大気浄化法、水質浄化法、絶滅危惧種保護法などの画期的な環境法が制定され、環境保護庁(EPA)が設立された。多くの国がすぐに同様の法律を採用し、2016年には国連がアースデーをパリ気候協定の発効署名日として選んだ。「アースデーが成功したのは、草の根レベルでの自発的な反応があったからです」とネルソン上院議員の発言の記録が残されている。

─再生可能エネルギー

今年のテーマである再生可能エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのこと。大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない」である。35年までに米国などの国のエネルギー需要は、一年を通して再生可能エネルギー源で満たすことが可能だ。そのため、EARTHDAY.ORG (以下:EDO)は、30年までに再生可能エネルギー発電を世界的に3倍にすることを呼び掛けている。

過去10年間で、太陽光パネルの製造コストは劇的に低下しており、手頃な価格になっただけでなく、最も安価な電力になることも期待できる。太陽光モジュールの価格は、10年から20年の間に最大93%低下した。また、温室効果ガスの排出を削減し、健康上の利点も多い再生可能エネルギーは、未来のエネルギーといえるだろう。

─教育と環境リテラシー

20年、EDOは気候リテラシーキャンペーンを開始し、21年に開催された国連気候サミットに参加する政府に対し、気候リテラシーを世界中の学校カリキュラムの中核にするよう求めた。現在までに、100カ国を代表する400の組織と3億人以上が署名している。04年に設立されたEDOの教育者ネットワークは、149カ国の教育者にリーチし、環境と気候に関するリテラシーを養うための知識とスキルを学生に提供している。

─今日からできること

環境問題の身近な対策として、普段の生活で取り組める物事も数多い。また、環境問題について学ぶことは、大きなアクションの一歩になるだろう。

Earth Day
earthday.org

               

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