今年9月にアラ&
サミュエル・モーシェさん |歯科医
24時間365日「笑顔」がモットーの献身的な治療を提供する歯科医
ミッドタウン地区にあるモーシェ歯科医院に通院する患者の約8割が日系人だという。神戸市出身で日本語が堪能なモーシェ先生はオープンハートでポジティブな人柄と献身的な治療で患者から絶大の支持を集めている。今回はそんな愛されキャラクターの先生にインタビュー。
─先生は神戸で生まれ育ったそうですね。
父の貿易の仕事の関係で神戸に住んでいました。私は七人兄弟の末っ子で、みんな神戸生まれです。私たちがいた1950年代から80年代の神戸は外国人が特に多かったと思います。当時、住んでいた近くだけでもインターナショナルスクールは5校くらいありました。高校生まで神戸で過ごし、卒業後に家族で米国に来ました。今はだいぶ標準語ですが、昔は神戸弁が強くてけっこう訛りがキツかったです(笑)。
─先生が歯科医を志された理由は?
歯科治療によって症状が改善して救われた自身の経験から「人の役に立ちたい」と思い、歯科医を目指しました。神戸時代からの友人の多くも歯科医になりました。昔の日本は甘いものがとにかく流行っていて、カルピスやキャラメル、大福にどら焼き、カステラなどが溢れていました。そして当時は今のように歯をケアする習慣や定期検診などがなく、子供たちが虫歯になりやすい環境で、なおかつきちんと虫歯を治療する人も少なかったため、今の高齢者の方々の歯の状態はよくありません。神経治療で歯を抜いて、入れ歯を装着している方がかなり多いと思います。
神戸にいた頃、いつでも手先を使い、自分たちであらゆるものを作っていました。街のあちらこちらで家を建てる人もいました。家具を自分で作っている人も多かったので、道具も手に入りやすい環境でした。私はスケートボートや下駄なんかも作り、おかげで手先が器用になりました。現代のように、スマートフォンなんてない時代ですからね(笑)。
─貴院は在米日系人の患者様が多いそうですね。
はい、開院以来、患者様の8割以上は日系の方です。患者様からは日本語で治療を受けられるということに大変喜んでいただいています。例えば「痛み」を伝える場合、「どんどん」や「ちくちく」などいろいろな表現があります。それを日本語で的確に説明できて、理解できるクリニックはなかなかありませんので。また、私のハートは日本人としての部分も持ち合わせているので、言葉だけでなく、文化や食事なども理解しているため、患者様からしてもコミュニケーションがとりやすいのではないでしょうか。
治療中の様子
─貴院の強みは?
大きなグループのクリニックではなくプライベートの歯科医院ですから、全て私が対応しているところです。何か緊急なことがあれば、可能な限り対応していますし、別の医院にたらい回しにされることもありません。9時から5時の決まった時間しか対応しない医院ではなく、私には患者様へ対する責任と、献身的な気持ちがあるので、必要があれば時間外でも対応することは私の中でとても自然なことです。もちろん、時々奥さんは怒る時もありますよ(笑)。
私は歯科医学を勉強したあと、特別に大きな病院へ行き、手術や矯正治療、インプラントなど幅広い分野の勉強をすることができました。私は他分野の治療についても学んで修得する機会に恵まれました。今は、それぞれ専門分野ごとに分かれていると思います。一人の先生がいくつもの分野の治療ができるのは非常にレアだと思います。正直申し上げて、今はそこまで勉強する若い歯科医はいないと思います。
─先生のモットーは?
笑顔です。また、患者様の笑顔が私の活力となるので、患者様にも素敵な笑顔をキープしていただくために、私は来院してくださる患者様とその子供に、いかに毎日のケアと毎日の食事が大切かを伝えています。歯ブラシやフロス、歯間ブラシを使うことも大切です。ひどくなってから歯科医を訪れるのではなく、定期検診やクリーニングをしに最低でも年に2回は足を運んでいただきたいです。とにかく予防が大切です。
─先生のご趣味は?
日本の美術品コレクションです。日本の古いものが好きで、昔から少しずつ収集しています。私が子供の頃に使っていた鯉のぼりもありますよ(笑)。ちょっとしたミュージアムのような気持ちになれるので、とても楽しんでいます。また家族旅行で日本を訪れるのも好きです。
江戸時代の鯉のぼりを描いた浮世絵作品
趣味の日本美術品コレクションの数々
Dr. Samuel Moche, DMD
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