巻頭特集

ハロウィーン名物 背筋も凍る紐育奇譚(ニューヨークきたん)

押さえておきたい怪奇スポットはここだ!!!!

歴史豊かなニューヨークは幽霊たちの格好の棲家でもある。有名な顔ぶれは…。

孤独死した老女の幽霊に会える

マーチャント・ハウス・ミュージアム

ニューヨーク市内の怪奇スポットとしてまず名前が挙がるのが、1832年建造のレンガと大理石の屋敷。現在は博物館として一般に公開され、市のランドマークと国家歴史建造物に指定されている。1835年に屋敷を購入し、妻と8人の子ども、使用人4人とともに移り住んだ裕福な商人シーベリー・トレッドウェル一家が100年にわたり居住。幽霊としてたびたび目撃されているのは末娘のガートルードだが、使用人や彼女の家族の幽霊も出没するという。ガートルードは生涯独身で、生まれた時と同じ2階の寝室で93歳で孤独な死を迎えた。最初に目撃されたのは死去のわずか数週間後で、屋敷が博物館として一般公開された1936年以降もスタッフや博物館の入場者から、奇妙で不可解な出来事が報告されている。主な怪奇現象は「壁をたたく音が聞こえる」「10代後半からさまざまな年齢のガートルードが、茶色のタフタのロングガウンを着て歩き回っている」など。

博物館では年間を通して展覧会やイベントを実施。10月は、ろうそくの灯りだけで館内を回る恒例ゴーストツアーも開催

ガートルードの幽霊は、ヘンリー・ジェームズの小説『ワシントン・スクエア・パーク』のモデルになった

Merchant’s House Museum

29 E. 4th St./merchantshouse.org


焼け死んだ女子工員の悲鳴が聞こえる

NYUブラウンビルディング(旧トライアングル・シャツウエスト工場)

ニューヨーク大学のブラウンビルは、1911年3月25日の火災で10〜20代の女子工員146人が死亡したトライアングル・シャツウエスト工場があった場所。

火災は建物の8階で発生。火は瞬く間に9階と10階に燃え広がり工場は火の海に。煙に巻かれて気絶し、そのまま焼死する者、逃げ場を失って路上に飛び降りる者たちで現場は阿鼻叫喚の状態に。盗難や無断休憩を防ぐために、工場の出口のドアが施錠されていたことも被害の拡大につながった。ビルがNYUの所有となってからは教室と科学実験室として使用されているが、「息苦しい」「夏でもないのに教室内が妙に暑い」などとクレームし、同教室での受講を敬遠する学生が続出。夜間にビルの下を歩いていると「(人間が飛び降りたような)バウンス音や悲鳴が聞こえる」との証言もある。

1901年建造のビルは国家歴史登録財、国家歴史建造物、市のランドマークに指定されている。惨事を機に大幅な労働条件の改革が断行され、火災安全法や建築基準法が制定された

身元不明の被害者の遺体を棺に収める警察官たち

Brown Building (Triangle Shirtwaist Factory)

23-29 Washington Pl.


死の匂いが充満する

ワシントン・スクエア・パーク

「歩いていると夏でも急に寒気を感じる」「木立の中に人影が見え、近づくと消える」。ゴーストハンターが「死の匂いが充満している」と口をそろえる怪奇スポット。18世紀末から19世紀初めまで公園東側の3分の2は畑で、行き倒れのペスト患者の遺体が捨てられていた。ニューヨーク市は近隣住民の墓地としてこの区画を4500ドルで購入、黄熱病が大流行した1797年から1803年には、2万人にも上る遺体を埋葬した。1965年、コン・エジソンの作業員が地下工事中に20遺体を発見。2009年に大規模な発掘作業が実施され、15年には水道管を敷設していた作業員が公園の北東部で2つの巨大な地下墓地を発見している。

公園の北西の入り口近くにある樹齢350年のニレの木は、その昔、犯罪者の処刑に使われたという説もあるが真偽は不明。実際の絞首刑は1818年、現在は噴水となっている場所の近くで執行された。放火罪で捕らえられた19歳の奴隷ローズ・バトラーで、現在でも彼女とおぼしき姿が風に揺られているのを目撃した人がいるという。

2015年に発見された地下墓地。棺や遺骨が散乱していたことから、「幽霊たちは夜な夜な欠けてしまった自分の体の一部を探している」と語る好事家も

独立戦争の司令官だったラファイエット侯爵が20人の馬上強盗を吊るし、公爵の幽霊が出ると噂されているニレの木

Washington Square Park

5th Ave., Waverly Pl., W. 4th St. and Macdougal St.


怪奇作家と消防士の幽霊が出没する

西3丁目85番地と84番地

NYUのファーマンホールの一部となっている同地にはかつて、怪奇・幻想作家のエドガー・アラン・ポーが住んでいた。1844年から45年にかけての8カ月間、彼はここで短編『アモンティリャードの樽』と物語詩『ワタリガラス』を改稿。現在、残っているのは手すりの部分だけだが、同大学の学生たちが、手すりを上下するポーの幽霊に遭遇。ポーはボンドストリート47番地の2階にも住んでいたことがあり、1階にあった酒場の常連だった。現在はレストランになっているが、地下のワインセラーで彼の幽霊が目撃されている。西3丁目84番地も呪われた場所だ。現在は個人宅に改装されているが元は1906年建造のFDNY2分署で、妻の浮気を苦に垂木で首を吊った「消防士シュワルツ」の幽霊が出るとして一躍有名に。最初に報告されたのは1930年代で、「屋根裏部屋から奇妙な音がする」「垂木にぶら下がるシュワルツを見た」と署員たちが震え上がったという。

ポーが死んだボルチモアの家(現在は博物館として公開)でも彼の幽霊が出ると噂されている

現在の住人はCNNキャスターのアンダーソン・クーパー。2010年に430万ドルで購入した

Furman Hall

85 W. 3rd St.

Fire Patrol #2 House

84 W. 3rd St.

NYジャピオン 最新号

Vol. 1263

最新の秋メークトレンド

続々と秋の新作コスメが登場する今時期、メークアップから今っぽい顔を先取りしてトレンドを楽しみたいもの。今回は気になる旬なメーク術からアイテムまでをフィーチャー。

Vol. 1260

再熱 日本の女子プロレス

女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。