グローバル時代の子育て

「やる気」を伸ばす 家庭教育とは?

子どもの教育で一番に考えることは、「よい習慣」を身に付けてもらうことです。習慣は、人の性格、メンタル面、一貫性などを決定づけるものであり、同時にあらゆる能力(「学力」や子どもが持っている「強み」)の伸び方にも関係していきます。

能力が伸びていくと、何度も成功体験が積めます。子どもは成功体験によって大きな自信(自己肯定感)を持つことができ、最終的に「自分はこんな道に進みたい」というアイデンティティーを確立していけるというわけです。

具体的な指図は
一切しない

では、よい習慣を身に付けるにはどうすればよいのでしょうか? よい習慣を身に付けている子どもの親に共通するのが、「子どもの自主性を尊重すること」です。「あれをしなさい」「これをしなさい」といった指示・命令を極力せず、子どもの自主的な選択を尊重し、親が具体的な行動を強要することがないのです。もちろん「勉強しなさい」「宿題をしなさい」とも言いません。

一方で、子どもの好きなこと、興味のあることには惜しみない協力をし、学びの場を積極的に用意しています。賢い子が育つ家庭では、親が子どもに「大枠の方針」「人生の哲学」を伝えはしますが、「具体的にどうするか」は子ども自身に選ばせます。そして、子どもがつまずいた時には手を差し伸べ、一緒に解決していくのです。

すると、子どものやる気が伸びていきます。自分の選んだことがうまくいくという体験を積むことで、子どもの自尊感情が高まり、何事にも自分で目標を設定し、その目標を達成するための努力を惜しまなくなるのです。

自主的な「やる気」が
原動力となる

子どもの自主性を尊重してあげると、勉強でも習い事でも手を抜かずに一生懸命に取り組むようになります。この一生懸命になるということが、能力をさらに飛躍させるのです。

先生の話を聞く時、問題を読む時、問題を解く時、わからない問題に出合った時、自分の意見を述べる時、何にでも一生懸命に取り組む子どもは、必ず勉強ができるようになります。自主的なやる気を持った子は、人が見ていない時でも手を抜かずに一生懸命勉強や習い事の練習に向き合うので、どんどん上達スピードも上がっていくというわけです。

一方で、「あれをしなさい」「これをしなさい」と親が口を出し、子どもに具体的な指示ばかりすると自主性が育ちません。すると、

やる気がなくなり、物事を上達させることに意識が向かなくなる

自分で考える習慣が身に付かず、言われたことしかやらない(できない)

人に指示されるのが嫌になり、親や大人の言うことを聞かなくなる

挑戦しないので成功体験を詰めず、自尊感情の低いまま大人になる

何事も周囲に流されて決断するようになり、自己が確立されないといった、悪循環に陥ってしまうのです。

干渉が多過ぎると
自信が育たない

「言われたことをしっかりやる子」は、親にとっては「都合のいい子」に写ることもあります。テストではいい点数を取れることも多いのですが、問題が起きやすいのはティーンエージャーを経て社会に出ていくときです。自分自身の選択で物事を成し遂げてきたという自信が少ないため、周囲に合わせて自分の人生を選んでしまう、何かをやり切ることができず何事も中途半端に終ってしまう、といったことが起こりやすくなります。

実際、こうした例は学歴を重視する日本や韓国といった、アジアの国でよく起きている問題です。十分に自信が育っていないので、挫折を経験したときに立ち上がれなくなる、そんな若者が実に増えています。

子どもの「やる気」を伸ばすには、親が手出し・口出しを減らし、子どもの自主的な選択をサポートすることが大切です。

 

 

 

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

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