巻頭特集

読者ランナーを一挙紹介! NYCマラソンを観る。

 

それぞれの思いを胸に!
特殊条件で走る出場者に注目!

NYCマラソンには、ハンディキャップを持った出場者も多い。例えば、車椅子。2000年に設置されたプロ車椅子部門は、各部門の中で最も早い、午前8時30分からスタートする。昨年度の優勝者はアメリカ人のダニエル・ロマンシュク選手で、タイムは1時間29分66秒! 車椅子ランナーのスピードと迫力は、沿道からの見応えもたっぷりだ。

弱冠20歳で優勝した、ダニエル・ロマンシュク選手

 

そして同大会には、伴走者と走る視聴覚障害者も多く出場する。今回は、以下の2組の読者を紹介しよう。

 

金子元輝さん&國井康世さん(Motoki Kaneko & Yasuyo Kunii)

 

今年10月5日に結婚式を挙げたばかりという、日本在住の金子・國井夫妻は、新婚旅行を兼ねてNYCマラソンに初参戦。実は2人とも、網膜色素変性症という難病により、視覚障害を持っている。金子さんは左目がほぼ見えず、右目は「活字1文字程度の視野」。國井さんは幼少期から視野がかなり狭く、暗所で見えなくなる、いわゆる「鳥目」だった。病状が進行した現在は、拡大鏡や音声ソフトなどを駆使して読み書きをしている。明確な症状が出たり、悪化したりしない限り、専門家でも見逃してしまう病気だ。

そんな2人は東京のランニングクラブで出会った仲で、マラソンを「社会とのつながり」(金子さん)、「伴走者や仲間とのチームスポーツ」(國井さん)だとそれぞれ語る。今年の長野マラソンでは、視覚障害B2の男女の部でそれぞれ2位という好成績をマーク。当日は2人に聞こえるよう、「カルカン!(=金子さんのあだ名)」「クニイちゃん!」と声援を送ろう!

 

長本法子さん(Noriko Nagamoto)

 

さまざまな障害を持つランナーの伴走者として、これまで実に20回、NYCマラソンに出場してきた長本さん。上記の金子・國井夫妻も所属する、障害者のためのランニングクラブ「アキレス」のニューヨークメンバーだ。今年度は視覚障害を持つ、福住美奈子さんこと「みーちゃん」の伴走を、西山由実子さんと共に担当する。「徐々に視力を失いつつある、みーちゃんに、NYCマラソンを満喫してもらいたい」と意気込む。

NYCマラソンのいい所は、「5万人のチームメイトと共に、同じ目標(ゴール)に向かうこと」だという長本さん。沿道で見守るからこそ、同じ熱量や一体感を知ることができるものだ。さあ、今年はあなたも現地に行くっきゃない!

 

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