④傾向と対策

今月のテーマ:防犯

犯罪には傾向があり、被害に遭わないために取るべき対策がある。「防犯」をテーマにした連載の最終回は、近年の盗難、空き巣などの傾向と具体的な対策を専門家に聞いた。

 

Q. 年、強盗や引ったくりでは、スマホが狙われにくくなったとうかがいましたが、今、ターゲットになりやすいものは?


A.

自転車は昔からよく狙われるアイテムですが、1000ドル以上する高級自転車の利用者が増えて、盗難のターゲットになっています。日本のような車体の登録制度がないことが、狙われる要因の一つです。そのため転売されやすく、盗難後すぐにネット掲示板で売りに出されるとも言われます。

究極の対策はタイヤやサドルを外し、GPS発信機を装着することですが、より簡単にできる方法として、頑丈なU字ロックに、振動で感知する自転車用防犯アラームを設置します。ロックを切断しようとした瞬間、大きなアラーム音が鳴るので効果的です。

 

Q. クレジットカードや銀行カードの情報盗難(スキミング)の被害も多いと聞きます。


A.

クレジットカード、銀行カードの情報を読み取る方式が、磁気テープ方式からチップ方式に変わりました。そのため、これまで情報を盗むために使われた装置は無効になっています。ですが、飲食店のウエーターなどによる情報詐取被害は引き続き起きています。客からカードを受け取り、誰も見ていないところでカードの表裏をスマホで撮影し、その情報を使ってオンラインで買い物をするといった手法が今も横行しています。

対策としては、カードのステートメント(請求明細)を定期的にこまめに確認し、身に覚えのない請求やお金の動きがあったら即カード会社に連絡することが一番有効です。

 

 

Q.ニューヨーク市内は銃に対する規制が厳しいと聞きました。


A.

基本的に警察や警備関係者、そして一部の例外を除き銃の携行は許されていません。銃を持っているとしたら、違法入手の可能性が高いです。非合法銃の所持者は犯罪常習者であることが多いので、銃犯罪が多く発生しているエリアに足を踏み入れないことが一番身を守るために必要なことです。

 

Q.オフィスビルを狙った空き巣被害の件数は減っているというのは本当ですか?


A.

9・11米同時多発テロ発生以降、上場企業が入るようなオフィスビル(通称「グレードA」)では、ほとんどが入り口に警備員を置くようになりました。警備員なしのビルは信用を獲得できないという考えが一般的になったからです。そのため、空き巣が徹底的に排除されました。

警備員を配置しなくても、建物入り口のドアに電子カードキーシステムを設置するところが増えました。カードキーの利点は、ユーザーの利用記録が全てコンピューターに記憶されること。以前よく起こっていたのは、元従業員が返却していない鍵を使って空き巣に入るケースでした。この手法で顧客リストや製品開発情報、投資情報、福利厚生情報、税金情報などを盗み、悪用するケースが数多くありました。

カードキーの場合、退職者が鍵を返却しなくても、管理システムでキー自体を無効にすることができます。それを知らずに元の職場に入ろうと試みても、管理システムが警告を発し、身元がばれてしまいます。

しかし警備員の配置、カードキーの導入だけでは不十分です。デリバリーを装ってオフィスに入り盗聴器を仕掛け、情報を盗み出すといった産業スパイ事件もありました。そのため、最近のグレードAのビルでは、デリバリーを決して入館させません。オーダーした人がロビーまで取りに行かねばなりません。

住宅の空き巣被害では、中層アパートが狙われやすいです。ファイアーエスケープ(非常階段)を使い2階まで上がり、階段を引き上げてしまえば気付かれません。あとは開いている裏窓から侵入するのです。非常階段のある窓はしっかり閉じておくことです。

犯罪に巻き込まれないためには、海外で生活していることを忘れず、常に緊張感を持ち、有事の際に適切な対処ができる情報を持っていることが一番大切だと考えています。

 

〈おことわり〉

当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。またこの記事は、2018年に掲載したものに加筆・修正を加えたものです。

 

橋本晃宏さん

Safeco Risk Control, Inc.代表。
1995年からセキュリティー関連のビジネスを始め、2004年に同社設立。
セキュリティーシステム・スペシャリスト、リスクアナリストとして個人・企業向けに防犯管理サービスを提供している。
元カリフォルニア州立短大講師。

 

Safeco Risk Control, Inc.
safecosurveillance.com

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