古くて新しい、とっておきのブルックリンへ

ファッションも再利用する時代 (古くて新しい、とっておきのブルックリンへ 034)

ブルックリンのガイドブックの著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。

今週はサウスウィリアムズバーグにあるzero waste danielです。



zero waste daniel

(ゼロ・ウェイスト・ダニエル)

全面窓の明るい店内には、カラフルなパッチワークの個性的なストリートファッションが並んでいます。フィッティングルームは裁断後の生地の残り(レフトオーバー)で飾られ、作業場もオープンでとても楽しげな空間!

とにかく「捨てない」

「再利用、再考、リロール(循環技法)、サステイナブルな服とファッション小物、リサイクル素材、ハンドメイド、すべての人に」。このスローガンには、創業者&デザイナーのダニエル・シルバースタインの目指すブランド使命と創作への想いが込められています。

彼はとにかくモノを捨てません。提携している町工場から、不要になった捨てられる直前の素材(スクラップ)をもらってきて、洋服づくりやパッチワークなどに「再利用」しています。配達された荷物についていたプラスチックなど、どんな素材も彼にとっては「価値あるもの」。作業場の入れ物に保管し、必要に応じて使っています。

「そもそも店にはごみ箱自体、ないんだ」

 

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作業場も兼ねているダニエルの店。店頭に立ちながら、奥の作業場で新作をクリエートする日々だ

 

どんなものにも価値がある

ダニエルは子供のころからモノづくりが好きで、家族ぐるみの知人が11歳のときにミシンを買ってくれたそうです。13歳の頃から本格的にドレスやバッグを自分で作り始めました。

14歳でFIT(ファッション工科大学)の週末コースを取るようになり、大学もFITに。在学中、ベネズエラのドレスブランド「Carolina Herrera」でインターンをし、生地をどこも捨てることなく裁断する方法を自分で考案しました。

「子どもの頃、どんなモノにも価値があると教えられて育った。プロとして洋服を作るようになって、たくさんの人に切れ端は『価値がない』と聞いたけど、違うよなと思った」

大学卒業のときに、両親からプレゼントされたものがあります。それは今でも彼が大切に愛用しているミシン。店奥の作業場には3台のミシンが並んでいて、真ん中のものがその記念の品。ダニエルの唯一無二の作品作りにかかせない右腕として、ここで毎日カタカタと稼働しています。

 

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「ビーコンズクローゼット」で購入した古着に、スクラップ(不要になった生地や素材)をアレンジしたデニムジャケット

 

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Tシャツ($45)、フーディー($165)、ショーツ($99)、パンツ($130)など1点モノがそろう

 

All Photos: © Kasumi Abe

 

 

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