木を見て、森を見て、木として考えるコラム

<第28回> クルエルティフリー&ビーガンのコスメ、試してみませんか?

クルエルティフリー(以下CF)コスメや、ビーガンコスメ…化粧品を利用する方はご存知かもしれないこれらの言葉。一般的に、前者は「動物実験をしていないコスメ」、後者は「動物由来の原料を使用していないコスメ」を指す。もしピンとこない方も、化粧品のパッケージ、ブランドのウェブサイトやお店の什器などで、ウサギのイラスト(CFを表す)や、VやVEGANの文字を用いたロゴ(ビーガンを表す)の認証マークを目にしたことはあるのではないかな。

ちなみに、前述のビーガンの定義は化粧品における使われ方。それとは少し異なる、一般的に「ビーガンであること」は何かを簡潔に記すと、「不可能ではない限り動物の搾取を避ける哲学やその生き方」となる。なので、食事をはじめ衣服や家具などにおいても、動物の利用や搾取がされていないモノや方法を選ぶ。コスメもその一環で、そして私にとって、CF&ビーガンのコスメへの思い入れは特に強い。というのも私は実はビーガンなのだけど、そのきっかけは化粧品だったからだ。

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これって人間の勝手じゃないかな・・・

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5年ほど前のこと。「そういえば、米国ではCFやビーガンといった表記を目にする機会が多いなぁ」。それまでさほど意識していなかった化粧品の動物実験について、ふと調べてみた。そこから、ワクワクするコスメの奥にあるザワザワしたものについて考えた。安全性や効果のテストは大事とはいえ、利用される動物はわけがわからないよね? どれだけ苦しむのだろう?実験後はどこに行くの?動物じゃないといけないの? 疑問が次々生まれた。

同じ頃、CFのロゴにウサギのイラストが多いのは、ウサギは動物実験に多用されているからだと知った。体が小さくて扱いやすく、大きい瞳は点眼を伴う刺激テストに適していて、繁殖が早い上に飼育コストが低く、おとなしくて…理由を読んでいたら、どれも人間の勝手な都合を感じるものだった。私にとって、動物実験を避ける決め手として充分だった。そうしてCFかつビーガンのコスメを選ぶようになり、気づけばそのほかの範囲でもビーガンになっていた。

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もはやニッチな市場ではない

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日本に比べたら米国のCFやビーガンのコスメは豊富だと感じるとはいえ、ビーガンになってからの選択肢はぐんと減った。けれど、世の中には化粧品が多過ぎるほどにあるので、CFとビーガンのフィルターをかけて選べばむしろストレスが減る!とポジティブに捉えることもできる。しかも最近は、肌の色や状態の多様性、ジェンダーの流動性などが考えられていたり、環境負荷削減の工夫がされていたりと、CF&ビーガンであることに加え更なるプラスの要素も詰まったブランドや商品が増えているように感じる。

実際に米国でも世界でもビーガンンコスメへの関心は高く、急激に伸びている分野だそうだ。フォーブスによると、2027年までに世界のビーガンンコスメ市場は214億ドルに達すると見込まれている。実際の購買者にはビーガンではない人も多く、化粧品から動物搾取を減らす生き方を試してみる場合も多いようだ。私もそうだったので、その感覚はよくわかる。

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慣れないうちは、認証を参考に

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なお、CFやビーガンの考え方は、洗剤や歯磨き粉といった生活用品においても同様に広まっている。

CFやビーガンのプロダクトに関心があってもどこから始めたらいいかわからない場合は、まずは認証を頼りにしてみて。CFインターナショナルという団体が表記するLeaping Bunnyの文字とウサギのイラスト、または大きなVの文字とともにCertified Vegan/Vegan.orgと表記されるビーガンロゴは、よく見かけるはずだ。不安であれば、各社のサイトやソーシャルメディアで確認したり、問い合わせることもできる。

動物を傷付けない生き方が化粧品から広がり、コスメが前よりもっと楽しいものになった。次回コスメを買う際にでも、ぜひ条件に加えてみて欲しい。

 

COOKIEHEAD

東京出身、2013年よりニューヨーク在住。ファッション業界で働くかたわら、市井のひととして、「木を見て森を見ず」になりがちなことを考え、文章を綴る。ブルックリンの自宅にて保護猫の隣で本を読む時間が、もっとも幸せ。
ウェブサイト: thelittlewhim.com
インスタグラム: @thelittlewhim

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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。