巻頭特集

フェリーに乗って行く週末のプチお出掛け~スタテン島編~

おすすめスポットBEST4

フェリー乗り場のあるセントジョージ地区を起点に、徒歩や自転車、バスで回れる見どころベスト4を紹介!


スナグハーバー文化センター&植物園
Snug Harbor Cultural Center & Botanical Garden

83エーカーの敷地内には特色のある14の庭園と博物館、現代美術センター、ニューヨーク市で2番目に古いコンサートホールなど見どころがいっぱい。船乗りの老人ホームとして1833年に設立。最盛期には農場、発電所、病院、娯楽施設、墓地などコミュニティーに必要な施設を全てそろえた「高級シニアセンター」として知られた。1950年代にその役割を終え、75年に非営利の文化センターとして生まれ変わった。敷地内のギリシャ復興様式の5つの建物と礼拝堂は、ニューヨーク市初のランドマーク建築であり、国の歴史登録財にも指定されている。

池では鯉が泳いでいる(庭園の入場料は4ドル)

ぜひ足を運んでほしいのは15世紀・明王朝の様式で、本場蘇州(そしゅう)産の屋根や瓦、柱、はり、石を使って造られた「中国学者の庭園」。竹林に囲まれた風情ある佇まいは、ニューヨークの「隠れた宝石」として名高い。

引退後の船乗りの寮を再利用したスタテン島博物館

1000 Richmond Terrace, Staten Island, NY 10301
➡フェリー乗り場からバスで約14分、自転車で約11分。 snug-harbor.org


国立灯台博物館
National Lighthouse Museum

灯台の模型をはじめ霧笛(むてき)、照明器具、光学機器など関連品を集めた博物館。米国灯台局第3地区(南はサンディーフック、北はオールバニ、東はマサチューセッツ州境まで)の製造、保管、供給、修理の中心地だった旧スタテン島灯台基地のビル群の中にある。GPSなどの最新技術の登場で失われつつある米国の灯台の歴史と技術を保存しようと、2015年にオープンした。

灯台のレプリカには細部まで作り込まれた模型がずらりと並ぶ

圧巻は米国と世界各地の灯台の模型160個。世界最古のエジプトの灯台や自由の女神像のモデルとなったギリシャの灯台、日本の観音埼灯台もある。灯台守の献身を讃える展示や、マサチューセッツ州ナンタケット島からニューヨーク、ニュージャージー沿岸に点在する灯台を航海図上で紹介した展示など常設展は7つ。近隣の灯台や港沿いの見どころを巡るボートツアーも実施している(有料)。

入場料は大人7ドル、12歳未満は無料

200 The Promenade at Lighthouse Point, Staten Island, NY 10301
➡フェリー乗り場から自転車で約3分、徒歩で約7分。 lighthousemuseum.org


ワズワース要塞 Fort Wadsworth

ベラザノナローズ橋のたもと、226エーカーの広大な敷地に広がる米国で最も古い要塞(ようさい)。独立戦争(1775~83年)下にニューヨーク市を占領した英国軍が1776年に建造。同戦争後は市の主要な要塞として米軍の管轄下になり、基地の閉鎖・再編に伴い海軍が撤退した1995年にゲートウェー国立保養地となった。現在も一部が沿岸警備隊や陸軍予備軍、公園警察の所有となっている。

バッテリーウィード。右に見えるのはベラザノ橋

まずは見晴らし台からアッパーベイ、ブルックリン、マンハッタンのパノラマビューを楽しもう。目の前に横たわる4層構造の要塞、バッテリーウィードは南北戦争中に完成した。最大116の砲弾を対岸に飛ばせたという要塞はまさに「夏草や兵どもが夢の跡」といった雰囲気だ。ちなみに夏の間は1泊2日のキャンプサイトとしても開放しており、ユニークな体験ができる(要予約)。

ベラザノ橋の真下では釣りをする人も

210 New York Ave., Staten Island, NY 10305
➡フェリー乗り場からバスで約20分、自転車で約20分。
nps.gov/gate/learn/historyculture/fort-wadsworth.htm


スタテン島9.11慰霊碑「ポストカーズ」
Staten Island September 11 Memorial

ウォーターフロントの遊歩道沿いにある、9.11同時多発テロで犠牲となったスタテン島住民267人を追悼する慰霊碑。空に向かって伸びる一対の翼のようなモニュメントは建築家・曽野(その)正之さんが設計した。

ニューヨーク湾を隔てて正面にワン・ワールド・トレード・センターが見える

「死者と遺された者たちをつなぐ手紙」をコンセプトに、折り畳まれた2枚の葉書をそれぞれ267倍に拡大し、愛する人たちとの個人的なコミュニケーションを表現した静かで温かみにあふれた慰霊碑だ。

壁面には犠牲者の横顔のシルエット、名前、誕生日、役職が刻まれた9インチx11インチの花こう岩のプレートが埋め込まれてあり、横顔は全て、ニューヨーク港を隔てたWTC跡地に向いている。2014年からはツインタワー倒壊後の救助や復興活動に従事し、がれきが発する有毒物質に被曝し亡くなったファーストレスポンダーたちの慰霊碑も併設。

テロ3回忌となる2004年9月11日に奉納され、以降、毎年欠かさず記念式典が行われている

St. George Esplanade, Staten Island, NY 10301
➡フェリー乗り場から自転車で約3分、徒歩で約7分。 nycgo.com

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1245

春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜

桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。