巻頭特集

コロナで変化 アメリカのキャッシュレス事情

基本の金融用語解説

ビットコイン (単位 : BTC)

代表的な仮想通貨(暗号資産)。使い、貯め、増やした記録の全てがインターネット上に記録される。仮想通貨は紙幣や硬貨と異なり、実体がないのが特徴で、その点はポイントカード制度や電子マネーに似ている。このビットコインは、サトシ・ナカモトという人物が2008年に構想。システム上の微調整が行われ、15年あたりから取引が急増し、17年10月には合計2億BTCもの取引が行われ、世界中で注目が高まった。

モバイルペイ

アメリカで使われている主なモバイルペイは、Apple PayAndroid PaySamsung Payの3種類。アプリにクレジットカードを登録すれば、スマートフォンをかざして支払いもできる。MTAでの設置がまもなく完了予定の支払いシステム「OMNY(One Metro New York)」は、クレジットカードだけでなく、モバイルペイでの支払いも可能。2023年より、既存のメトロカードからOMNYに完全移行する予定。

■送金アプリ

Venmo

Paypal傘下の中で最も人気のあるアプリの一つ。スマートフォン向けに特化した、モバイルファーストのユーザー体験を提供する。リンクされた銀行口座やデビッドカード、またはアプリ内の残高から送金すると、手数料が掛からない。友達同士での送金に加え、多くのレストランやカフェでの決済にも使用することができる。

Zelle

100以上の銀行やクレジットユニオンと提携している、ペイメントアプリの一つ。手数料なしにチェッキングアカウント(当座預金口座)間の資金移動と、異なる銀行口座間でのやり取りができる。バンク・オブ・アメリカ、チェイス、シティバンク、ウェルズファーゴなど、主要銀行のモバイルバンキングアプリ内に統合されている。

〈コロナ禍の注意点〉

銀行の相談窓口は現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予約が必要だ。銀行によっては電話やオンライン対応のみの場合もあるため、口座を持つ銀行へ事前に問い合わせよう。

コロナ禍で変わるキャッシュレスの仕組み

新型コロナによる外出自粛令や、WHO(世界保健機関)の感染リスクを避けるための現金使用を控えるコメントなどが影響し、今年3月のATM使用率は前年同期に比べ、50%減少した。ビジネスによっては、カード払いのみ、または電子マネーのみなど、非接触対応に切り替える小売業者が増えた。今回はコロナ禍の変化を、企業コンサルを行う、ISIDの2人に解説してもらった。

現金からキャッシュレスへ


協力してくれた人たち

佐野慎介 Shinsuke Sano
ISI-Dentsu of America President & CEO

2020年1月、現職に着任。2000年にISIDに入社し、一貫して金融ビジネスにおけるソリューションサービスに従事。融資業務・信用リスク管理およびインターネットバンキングなどのチャネル系を専門領域とし、同領域におけるプロダクトビジネスの立ち上げと推進を実施。近年は非金融機関のレンディングと決済領域における金融ビジネス参入に関し、業務設計からシステム構築までを提供するビジネスに従事。


マエダサララ Sarara Maeda
ISI-Dentsu of America
Vice President, Digital Innovation

VPとして電通協業によるクリエーティブ案件を担当。大手製造業のデジタルトランスフォメーションのプログラムマネジメントに従事。Computer Vision Engine開発案件に数件参画。デジタルグローバルブランディング案件のプロジェクトマネジメントに参加。同社のFintechインキュベーターの海外運用の支援、大手金融機関のフロントオフィス・トレードプラットフォームの、開発案件のプロジェクトマネジメントに従事。


電通、GEのジョイントベンチャーとして発足したのがISID。グローバル展開を重視し、在米日系企業、特に金融(銀行・証券)へ先端テクノロジーのコンサル・開発支援を行っている。

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1240

今年のセントパトリックデーはイル文化を探索しよう

3月17日(土)のセントパトリックデー(Saint Patrick’s Day。以下:聖パトリックデー)が近づくとニューヨークの街中が緑色の装飾で活気づく。一足先に春の芽吹きを感じさせるこの記念日は、アイルランドの血を引く人にとっては「盆暮れ」と同じくらい大事。大人も子供も大はしゃぎでパレード見物やアイリッシュパブに出かける。聖パトリックデーとアイルランド魂の真髄を紹介する。