グローバル化時代の子育て

その70 非認知能力と学力は 互いに高め合う

非認知能力(やる気や考える力)の重要性が世の中に知られるようになり、「勉強が先ですか、非認知能力が先ですか?」、「勉強と非認知能力はどちらが大切ですか?」という質問を多く受けるようになりました。私はこの質問には以下のように答えます。

「非認知能力も学力も、どちらも大切です。バランス良く育ててください。」

非認知能力と学力はどちらが先か、あるいはどちらにより重点を置くのかではなく、どちらもバランス良く育てることが大切です。この二つは車の両輪なのです。どちらかに偏っても車は真っすぐに進むことができません。

私がこれまでに世界中の子どもたちを見てきましたが、成功している子どもたちは例外なく「勉強」がよくでき、さらに、やり抜く習慣ややチャレンジ精神という「非認知能力」を有しています。

非認知能力は幸福感も左右する

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の研究によって、子ども時代に身に付ける非認知能力は、大人になってからの幸福感や経済的な安定と関与していることが分かっています。

一人で机にかじりついて勉強しているだけでは「人生の幸福」に関わる非認知能力は身に付かないのです。机から離れて、クラスメートと関わり合い、協力し合って何かを成し遂げたり、スポーツや遊びを通して本気で競争したり、集団でコツコツとした努力を継続する積み重ねが必要なのです。

「共感して聞く習慣」や「共に学ぶ習慣」や「衝動をコントロールする習慣」が身に付いていなければ友だちができません。友だちができなければ、人生の幸福感が低くなり、経済的な安定も得にくくなります。勉強は大切ですが、勉強だけに偏ってはいけません。

 

アメリカのトップ大学には学力だけでは入学できない

非認知能力と学力はお互いに絡み合いながら、お互いが良い影響を与え合って、高いレベルへと発達していきます。例えば「やり抜く習慣」は、スポーツや楽器などの単調な反復練習をコツコツやり続けることで高度に育てることができます。勉強とスポーツを両立することで非認知能力が高まり、非認知能力の高まりが学力にもプラスの影響を与えるわけです。

世界トップのエリート大学といえばハーバード大学に代表されるアイビーリーグ大学です。アイビーリーグ大学には「学力」が高いだけでは合格できません。学校の成績がオールAでも、SATと呼ばれる共通テストで満点を取っても、スポーツ、吹奏楽、オーケストラ、演劇などの課外活動に取り組んでいない生徒は、ほぼ合格できません。

アイビーリーグ大学の合格を勝ち取った生徒のプロフィールを見ると、文芸両道は当たり前。さらに生徒会活動、ボランティア活動など、忙しい学校生活の中で、勉強にも課外活動にも休む暇なく突き進んできたことが分かります。このような厳しい環境を「やり抜いてきた」ことによって非認知能力が高度に発達していると大学側は判断しているのでしょう。

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

 

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