グローバル化時代の子育て

その69 非認知能力を育てる

グローバル化、IT化、ロボット化の発展に伴って学校教育は大きな転換期を迎えています。日本でも2020年から小学校で英語が正式教科となり、プログラミング学習も必修化されます。

さらに「アクティブラーニング」「ロジカルシンキング」など「考える力」の育成も、小学校から取り入れる機運が高まってきていますから、これからの子どもたちは大変です!

アメリカの教育の変遷

アメリカでは、社会構造の変化に適応する人材を育成するために、学校教育がここ20年で大きく変化してきています。一昔前の主要教科と言えば、①英語②算数③理科④社会でしたが、現在は「コンピューター教育」や「STEM教育/科学・技術・工学・数学」の比重が年々増してきています。

社会の変化によって、子どもたちが身に付けなければならない「新しいスキル」が次々と増えていく中で、、いま子育てをしている親たちは、何を、いつ、どう教えればいいのか?」、大きな不安を感じていることでしょう。

教育が変わっても子育ては変わらない

でも、慌てる必要はありません。世の中がどう変わろうが、どれだけ新しいスキルが増えようが、学校や社会で成功する子どもを育てるために親がなすべきことは、今も20年後も変わりません。

それが学力と非認知能力をバランス良く育てることです。英語では「Well Rounded Education」と呼ばれ、学力だけに偏らせない、アートやスポーツを含めた全人教育が子どもの将来の成功に関わることは、幅広く知られています。

コロンビア大学が2000人の中学生を対象に行った調査で、アート教育を受けていた生徒は、受けていない生徒に比べて、創造的思考力が高く、学習に対するモチベーションが高いことが分かっています。

アーサー・コスタ博士の「16の習慣」

非認知能力とは何なのか? これについてはさまざまな考えがありますが、最も具体的な指針として、カリフォルニア州立大学名誉教授、アーサー・コスタ博士が提唱する、「Habits of Mind/心の習慣」をご紹介します。

コスタ博士は、カリフォルニア州教育省のカリキュラム(日本の学習指導要領に該当)責任者として教育改革に取り組んできました。どうしたら学校で、そして社会で成功できる人材を育てることができるのか? 全米の教育者や研究者と議論を重ねる中で、成功する子どもには、次のような「共通点」があることが分かったのです。

①やり抜く習慣…諦めない、やり続ける

②衝動をコントロールする習慣…行動する前に考える、落ち着く

③共感して聞く習慣…注意深く聞く、気遣う

④柔軟に考える習慣…違う見方をする、別の方法を考える

⑤思考を思考する習慣…自分の思考の偏りに気付く

⑥正確さを追求する習慣…見直す、念には念を入れる

⑦疑問を持ち問題提起する習慣…うのみにしない、根拠は何か?

⑧知識や経験を生かす習慣…思い出す、前にも同じことが?

⑨明晰(めいせき)に考え伝える習慣…言葉を選ぶ、はっきり話す

⑩五感を使う習慣…感じてみる、触れてみる、感性を生かす

⑪想像、創造、革新する習慣…ユニークであれ、独創的であれ

⑫世界の神秘と発見を楽しむ習慣…夢中になれ、よく観察せよ

⑬チャレンジする習慣…勇敢であれ、リスクを冒せ

⑭ユーモアを見つける習慣…楽観的であれ、おかしみを忘れない

⑮共に考える習慣…協学せよ、殻に閉じこもるな

⑯学び続ける習慣…興味を持ち続けよ

 

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

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