グローバル時代の子育て

その60 根拠のある自信を育てる

7歳を過ぎた子どもは「根拠のある自信育て」に取り組む時期です。スポーツ、音楽、ダンス、演劇などの習い事に参加させて、地道な努力を継続することで「自信」を勝ち取っていけるように導いていきます。

競争に参加させる

「根拠のある自信」というのは、スポーツや音楽などの習い事に参加し、自主的な努力を長期間継続することで得られるものです。また「根拠のある自信」を育てるには、練習だけでなく「競争」に参加させることが必要です。

最近日本では子どもから競争を避ける傾向があります。運動会の徒競走でみんなが手をつないで同時にゴール! これでは子どもが「目標に向かって頑張る」という意欲が育ちません。

私は、教育に競争は不要ですが、課外活動での競争は必要だと考えています。子ども時代に競争に向き合う経験を積んでいないと、実社会に出たときに、生き残っていくことができないからです。競争は、子どもを社会に出すためのトレーニングです。子ども時代に競争と向き合う訓練をせずに厳しい競争社会に放り込む方が、親として無責任なのです。

10年継続することが大切

習い事を、「根拠のある自信」に引き上げるには、学生時代を通して、その習い事を継続しなければなりません。「でも継続させるのが難しいんです」という父兄のために、習い事を継続させる秘訣(ひけつ)をご紹介しましょう。

そもそも、子どもが習い事を「もうやりたくない」「やめたい」と言うのはなぜだか分かりますか? 「もうサッカーは嫌!」「水泳教室行きたくない!」子どもが習い事を嫌がる理由が分かれば、継続させる方法も分かりますね。

その理由は、「上手くできないから」です。上手くできないことをやるのは楽しくないのです。サッカーのルールを知らない子どもを、いきなりサッカーチームの練習に参加させても楽しめません。周囲の子どもがボールを蹴っているのを、ボーと見ているだけです。練習の後に親が「どうだった? 楽しかった?」と聞くと、「やりたくない!」と答えます。当たり前です。「やりたくない!」と言うように、親が誘導しているようなものです。

 

コツは周囲より
上手にしてあげること

習い事を継続させるには家庭でルールや基本的な技術を教えてあげなければいけません。子どもと一緒にサッカーの試合をテレビで見ながらルールを教えてあげる。休みの日にはお父さんがボールの蹴り方、ドリブルの方法を教えてあげるのです。

ある程度上手にできるようになったら練習に参加させます。すると、皆と同じようにできるので、サッカーを楽しめるのです。さらに周囲から、「◯◯君はサッカー上手いね!」と褒められるので、「自信」が付きます。周囲より少しだけ上手くできるようにしてから練習に参加させると、「自分はできる!」という自信を持ちます。すると「もっと上手くなりたい!」と、自分から練習に励むようになるのです。

親のサポートが
自信を大きくする

学校時代に習い事で学年トップレベルの実力をつけさせることができれば、自信は「確信」になります。中学からはクラブ活動が始まりますから、そこでもトップレベルを維持していけるようになります。

親がコツコツと練習につき合って子どもを上手くさせてあげる。それを小学校時代に実現できれば、習い事を継続することを通して「根拠のある自信」が育ちます。

 

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。
しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾
TLC for Kidsを開設。
2015年に
TLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。
アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。
イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。
著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

 

 

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