第232回 企画は「終わり」から考える

〝共感〟をキーワードに独自のマーケティング理論を展開するブランディングコンサルタント・阪本啓一の「マーケティング力アップ講座」。


企画のコツは、「終わり」から逆算することです。

イベントを例に取ると、企画は日にちの設定から会場選択、内容…と、「始まり」について考え始めるのが通常です。そうではなく、「イベントから帰る人の胸に何が残っていると成功なのか」を考える。すると「誰に何を持ち帰ってもらいたいのか」という目的がはっきりします。内容もそれに従って決まります。

逆算の効果

これはプロジェクトを円滑に進めるためのコツでもあります。期間に余裕があるときなど、ややもするとみんな真面目に、「では、**の件について、まずはブレーンストーミングしてみようか」と始まります。

「実現する・しないは別として、自由にアイデアを出してみてよ」。これは創造性につながりません。むしろ議論が拡散して、収拾がつかなくなる。「プロジェクトの成果物は何にしようか」が、正しい問いです。

現在ある店の将来について考える会議とします。「新しい店を作ってみよう」という成果物を出してしまいます。「コンセプトは? 広さは? 誰が対象? 品ぞろえは…」。かなり具体的になってきます。

「実現するために必要な経費はいくらかかるんだろう? 人は何人要る? 企画から開店までに許される時間はどれくらいだろう?」すべて「具体的な答え」を求めるものばかりです。

「じゃ、君は設計に詳しいから担当して」「仕入れに強い**くん、よろしくね」など、メンバー各自の役割も輪郭が明確になります。プロジェクトの解像度は初日からくっきり鮮やか。逆算の効果です。

ブランドも終わりから

私の会社JOYWOWはいつも、「終わりはどうなっていたいか」を考えています。私がいなくなり、法人としてのJOYWOWがなくなったとしても、ビジョンに掲げている「ビジネスパーソンたちのものの見方・考え方に、『JOY+WOW+LOVE and FUN』の濃度が今より高まっていること」が実現していれば、「いい終わり方」だと思います。そうすると、毎日の活動が「その終わりをもたらすか?」とチェックできるのです。

始まりがあれば、終わりがある。どんな終わり方をしたいのか。レストランであれば、「この店が閉店するときって、どうなったときなんだろう」と想像してみるのです。

終わりは悪いことではありません。ちょうど人間が「誰にも死は免れないからこそ、現在の生が輝く」ように。

現在を輝かせるために、未来の「終わり」から考えるのです。

コンビニも
終わりを考えている

日本のセブンイレブン店頭も、手で触れる器具や、冷蔵庫などハードウエアは全て本部の所有物です。出店社はセブン本部からハードウエアをレンタルして、自分の経営力を販売していることになります。

その証拠に、冷蔵庫などすべてのものに「資産管理プレート」というバーコード付きのステッカーが貼ってあります。将来この店が閉店するようになったら、資産はセブン本部の所有物だと、はっきりさせる意味があるのでしょう。レジのお金も、本部のものです。

企画は、終わりから考える。皆さんもぜひやってみてください。

 

今週の教訓
今が輝きます

阪本啓一
ブランディングコンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。
2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。
06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役社長。
地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。
「ブランド・ジーン〜繁盛をもたらす遺伝子」(日経BP社)などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp



読めばわかるこの一冊

運気を磨く
田坂広志

「逆境を超える叡智は、すべて、与えられる」(本文より引用)

 

「運が良かった」とか、「今日はついてないなあ」とか、普段口にしますよね?

この、一見して非科学的なのに、実は古今東西みんなが信じている「運」というもの。これを味方にするには、どうすれば良いでしょうか。

よくあるスピリチュアル系の本とは違い、著者は丁寧に、ていねいに、ご自分の体験も交えながら読者を導いてくれます。

ポジティブなことを思うだけではまだ足りなくて、逆にネガティブを引き寄せてしまう。そのためには、日ごろ使っている言葉をポジティブにする。運命の流れに任せ切る。起こったことはすべていいこと。成長は「壁」にぶつかったとき…。

私が普段言っていることと重なっていて、とても意を強くしました。楽になりますよ。

 

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