巻頭特集

文化震源地 サウスブロンクス

02 ブロンクス美術館

地下鉄B、Dラインの167ストリート駅から南に2ブロック歩くと、銀色の屏風(びょうぶ)を幾重にも折ったような形の「ブロンクス美術館」が、目に飛び込んでくる。

元々は、ブロンクス裁判所のロタンダの一部で、ひっそりアート作品を展示していたのが、同館の始まり。総工費1900万ドルをかけて拡張された現在の建物は、2006年にオープンした。

 

 

ブロンクスならでは

同館では現在、ニューヨークの地下鉄の駅や車体に描かれたグラフィティーを撮り続けてきた写真家、ヘンリー・シャルファントの特別展「Henry Chalfant: ART VS. TRANSIT, 1977-1987」を開催している。

壁に描かれたグラフィティーやアーティストの写真数百枚が並び、角に置かれたブーンボックスからはラップミュージックが流れる。中央に置かれたガラスケースには、グラフィティーの下書きやスケッチが展示され、当時違法だったグラフィティーを次々と生み出してきたアーティストの熱が伝わってくる。

 

 

最奥の壁一面には、グラフィティーが描かれた地下鉄車両の横長の写真も、床から天井まで積み上げるように展示されている。

また、隣の展示室では実物大の列車のグラフィティーが、地下鉄の走る音やブレーキの音と共に展示されており、臨場感たっぷり。

ブロンクスならではともいえるこの特別展は、2020年3月8日(日)まで開催予定。入場無料。

別の展示室では、ブロンクス出身で2004年に他界した写真家、アルビン・バルトロップの作品を、彼の生涯と共に振り返る特別展も開催されている。

 

 

 

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1240

今年のセントパトリックデーはイル文化を探索しよう

3月17日(土)のセントパトリックデー(Saint Patrick’s Day。以下:聖パトリックデー)が近づくとニューヨークの街中が緑色の装飾で活気づく。一足先に春の芽吹きを感じさせるこの記念日は、アイルランドの血を引く人にとっては「盆暮れ」と同じくらい大事。大人も子供も大はしゃぎでパレード見物やアイリッシュパブに出かける。聖パトリックデーとアイルランド魂の真髄を紹介する。