④知っておきたい知識

今月のテーマ:E2ビザ

連載の最後は、意外と知られていない申請の落とし穴や、最近のビザの発給事情について専門家が解説する。広く知識をたくわえて、ビジネスをより発展させよう。

 

Q.ポンサー企業が子会社を持つ事業の場合、E2ビザで気を付けるべきことはありますか?


A.

E2ビザ申請者は申請したスポンサー企業の元でしか働けません。子会社があり、異動する可能性があるなら、申請時にその旨を明記しなければなりません。その際、子会社と親会社が同じ事業を行っており、申請者の立場も同じ(管理職なら子会社でも管理職として働く)である必要があります。

そしてこの時、子会社も親会社同様にスポンサー企業としての資格を有していることが重要です。以前に説明した通り、具体的には米国で実質的な投資を行い、実際に稼働して一定の利益と雇用を生んでいる子会社ということです。

複数の店舗を持つ飲食店やサービス業で、各店舗ごとに現地法人化している場合があります。前述の理由から、複数の店舗で無断で勤務することはできませんのでご注意ください。それぞれの店舗(法人)で個別にE2ビザを発給するか、親会社がスポンサー企業の場合は、申請時にその可能性を明記して認められる必要があります。

なお同スポンサー企業で2人目のE2ビザの申請を行う際、1人目の現在の勤務状況が元々の申請内容と異なっている(例=給与を支払っている企業が変わっている)場合、企業としての信用が落ち、2人目の申請が通らなくなってしまうこともあります。

 

Q.途中から別の企業で働くことはできないのですか?


A.

移民局で正規の手続きを踏み、認められれば問題ありません。弁護士費用の負担などを考慮して、この手続きを軽視する人もいますが、基本的にはスポンサー企業の元でしか勤務できないことをご理解ください。

 

Q.現在、就労ビザは全般的に取得が難しくなっていると聞きます。


A.

アメリカ政府が申請者に求める条件や、警戒しているポイントは、必ずいつも同じなのではなく、政権によってトレンドがあります。確かに、移民に厳しいトランプ政権以降、就労ビザ取得が難しくなったことは否めません。

ちなみに、H1ビザなどは移民局でビザ申請を行いますが、E2ビザは米国務省の管轄なので、申請は大使館・領事館で行います。これはあくまで私見なのですが、審査が特に厳しくなっているのは移民局であり、審査官が日本に駐在している大使館・領事館の方が、まだ柔軟に対応してくれる気がします。

またE2ビザの特殊性として、企業側の取得条件が金銭にかかわるものが多いので、経済面さえしっかり対策していれば、その他の就労ビザよりも比較的ハードルをクリアしやすいという考え方もできますね。

いずれにせよ、米国での起業を決意した段階で、将来的なE2ビザ取得の可能性を考慮し、弁護士と準備を進めておきましょう。E2ビザは、早期から取得に向けて取り組むことで、無駄な出費や労力を省くことができると考えます。

 

〈おことわり〉

当社は記事内容に関して一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

 

安田・デビン・龍弁護士

ニューヨーク州公認弁護士。
慶應義塾大学法学部、ミシガン州立大学法科大学院を卒業。
パートナーの小林剛弁護士と「
D5 Law Office」を設立。
専門は会社法、商法、移民法。
主に当地進出を目指す日系企業・個人をサポートする。
日米それぞれの語学と文化に精通。

D5 Law Office PLLC
25 Broadway, 9th Fl.
TEL: 248-497-8887
devin@d5law.com
d5law.com

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