その44 TCK (第三文化で生きる子供)

シンガポールで暮らす日本人家庭の子供。香港で暮らすイギリス人家庭の子供。日本で暮らすブラジル人家庭の子供。ハワイに移住したフィリピン人家庭の子供。

この子供たちに共通するのは、親の仕事などで母国を離れ、両親の持つ文化とは異なる文化の中で育つことです。

異文化の中で学齢期を過ごす子供たちを「第三文化の子供/Third Culture Kids」と呼びます。彼らは両親の文化(第一文化)と、受け入れ国の文化(第二文化)の二つに適応していく過程で、第三文化と呼ばれる独特のブレンド文化を創造するといわれています。

 

故郷はどこなのか?

第三文化の子供の特徴として、特定文化への帰属意識の薄さがあります。「Where is your home?」「Where are you from?」という質問にどう答えていいのか分からないのです。

今住んでいる場所なのか、育った場所なのか、両親の実家なのか、国籍なのか、様々な答えが浮かび、困ってしまいます。世界中のどこにも「ホーム」がない。どこにいても「アウェー」感覚が強く、特定文化に同化することがないのです。

第三文化の子供を不幸と捉えてはいけません。多様な文化や価値観と共存していくことが求められる現代社会において、国境を越えたアイデンティティーを持つ第三文化の子供たちは国際リーダーとなる素質を秘めているのです。

高度な言語力、異文化適応力、コミュニケーション能力、思考スキル、そして彼らだけが持っている世界観(世界が普通の人よりもはるかに小さい)、これらは掛けがえのない財産です。

 

母文化(母国語)を大切にする

異文化で育つ子供たちが、自分のポテンシャルを活かし、多文化人材である自分をポジティブに受け入れるためには、「母文化の土台」を構築することが何よりも重要です。

幼い子供を育てている家庭では、子供が早く日本語を習得できるように努力してください。日本語で話し掛け、日本語の絵本を読み聞かせ、日本語の歌を唄い掛け、日本語の本が読めるようにサポートしてあげてください。

小学高学年以上の子供には、日本についての知識を増やしてあげてください。なぜ日本人は集団の調和を重視するのか? なぜ日本で独特の文化が生まれたのか、なぜ日本人家庭には神様と仏様が同居しているのか? 日本を深く知ることは子供にとっても興味深いのです。

子供の特性を活かす場を与える

第三文化の子供が自分の特性に気付くには、多様な人と関わる機会を与えることが大切です。シンガポール在住であれば、周辺の国、マレーシア、インドネシア、タイ、カンボジアなどの人たちと触れ合う機会を作ってあげましょう。

異文化との接触機会が多いほど、国際人としての自分を強く意識するようになります。どんな国に行っても即座に適応でき、誰とでもコミュニケーションがとれる自分。そんな自己を発見することで自信が大きくなり、たくましいグローバルリーダーへと成長していくのです。

 

 

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