第227回  勉強しに行く

お金を支払って勉強する意識

私は、レストランやお店は、お金を払って勉強させてもらいに行く場所だと考えています。昨日行った中華料理店は、すごかった。

ママが一人でフロアを仕切っています。声が大きく、ママの笑い声を聞くと、こっちまで幸せになります。

日本では今年ゴールデンウイークは10連休。この店は休み無しで営業しています。開店直後にもかかわらず、先客がすでにいて、団体予約が入っているらしく大テーブルがセッティングされています。

玄関のガラスの向こうに人影が見えました。すかさず走っていき、ドアを開けます。

ここ、大事で、お客さまが自分で開けるのではなく、店の人が開けることで、「歓迎されている感」が高まります。お客さまの体験の最初を、「歓迎」で着色するのです。大きな声で「いらっしゃい!」気分最高に高まります。

グループの中に子供たちが5人いました。ママは早速子供たちと一緒にクイズを始めます。

「お母さんが誰か、当ててみるね。外れたらジュースごちそうするからね!」と、最初からジュースをごちそうするつもりなのです。そしてわざと負ける。子供たち、大喜びでした。

「クイズをはさむ」ことでアトラクションになり、ややもすると「大人に連れて行かれた」食事会が、子供たちにとって「参加するもの」へと転換するのです。この技、すごいです。

来店したお客さまにメニューを渡し、必ず最初に言うのが「うちの名物は焼ギョーザね! タレなしでも肉汁たっぷりで、おいしく食べられるよ」。当然、全員が焼ギョーザを注文します。名物は、こうして作られていくのです。

 

住所がブランド・アイデンティティに

パレスホテル東京。イチャモン大好きな私、阪本ですが、その私が、黙って感動、感心ばかりしています。会う人々すべてが気持ち良い。

人にまつわるソフトウエアだけではなく、ハードウエア、例えば共用部分(レストランなど)のトイレはいつもピカピカ。販管費が高騰し、人手不足の日本で、これは奇跡です。

館内にある日本食レストラン「和田倉」の夕食コースは食前酒から始まります。「壱ノ壱ノ壱」とネーミングされた日本酒は新潟・八海山の製造元で作ったオリジナル。これです。パレスホテルの番地が「千代田区丸の内1丁目1―1」。

1 何があってもお客さまを1番に置く
1 1―1―1で働く私たちのプライド
1 唯一、皇居前でホテルを営むことへの責任
この三つの1を示しているのでしょう。
客室ワイファイのログイン方法にも、「お客様が1番」が表れています。PINは客室番号、パスワードはお客様の名前なんです。訳の分からない暗号なんかを入れなくていい。しかも高速、ストレスなし。
住所が、ブランド・アイデンティティになっています。

 

お客だから神様、ではない

このように、店やホテルには勉強しに行く意識でいると、お金を支払うのが惜しくありません。「オレは客だ!」という意識でいるのはとてももったいない。「こんなに勉強させてもらったのに、この程度の料金でいいのですか?」が、正解なのです。

 

【今週の教訓 】店やホテルは勉強の場です

 

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。

2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。

06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。

地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。

『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

 

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

 

脳はどこまでコントロールできるか?

「成功者は形から自分を変える~『なりきり』の効果」(本文から引用)

高校同級生のF君は、童顔、背が低く、おとなしい子でした。そんな彼がクラスメートMさんに恋した。彼は思いました。「Mさんはきっと背が高く、ガッツある男が好きなはずだ。振り向かせるには僕もそうならなければならない」。半年後、F君は背が伸び、バンドを組んでリードギターをかき鳴らす積極的な男の子になりました。本当の話です。

そう、形って大事。だから私はランニングを習慣にしようと思い、まずウエアとシューズを買いました。しかし「今は暑いし」「もう寒いし」と、結局ウエアとシューズはお蔵入り。形から入るだけでなく「妄想する」ことができていなかった。「こうなりたい自分」という妄想。F君は妄想力があった。Mさんと楽しくデートしている自分。見事交際が始まりましたが、その後どうなったかはまた別のお話。

 

 

 

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