心と体のメンテナンス

屋外で気を付ける夏の皮膚病対策(前編)

 

身近なポイズンアイビー 3枚1組の葉に要注意

Q.

夏に多い植物による「かぶれ」とは?

A.

接触性皮膚炎、いわゆるかぶれを起こす植物はいろいろありますが、よく知られているのはポイズンアイビー(Poison Ivy=ツタウルシ)です。

ポイズンアイビーは、北米で身近に自生するウルシ科の植物です。これに触れると、ウルシに含まれるのと同じ「ウルシオール」という物質が皮膚に付着し、そこに炎症が起こります。

ウルシオールにアレルギーがある人は多く、アレルギーの有無を調べるパッチテストをすると、約75%の人が何らかの反応を示すそうです。これらの人がポイズンアイビーに触れると、かぶれを起こす可能性があります。

アメリカでは、年間2500万~4000万人がポイズンアイビーによるかぶれを理由に医療機関を受診しているという報告もあります。患者のほとんどは森林や農場で働く人と消防士ですが、ざっと10人に1人前後の割合で被害に遭っていることになります。

Q.

ポイズンアイビーによるかぶれの症状は?

A.

最も一般的な症状は、ウルシオールが付着した部分に起こる皮膚の強い痒(かゆ)みと赤みです。放置すると、時間とともにブツブツや水疱(すいほう=水ぶくれ)ができます。痒いので患部を掻くと、ウルシオールの付着面が広がり、掻いた線に沿って水疱が多数できることも、この皮膚炎の特徴です。原因不明の水疱が線状にあるときは、ポイズンアイビーが疑われます。

ウルシオールが付いた手で顔や陰部にさわり、そこがひどく腫れることもあります。

過去にウルシオールに接触したことがあり、アレルギー反応を起こす「アレルギーリンパ球」が体の中にすでにできている人の場合、ポイズンアイビーに触れてから通常4~96時間以内に症状が現れ、1~14日以内にピークに達します。ウルシオールに初めて触れた人の場合は、長くて21日後に症状が出ることもあるようです。

Q.

どのように治療するのですか?

A. 

症状が軽い場合は、ステロイド系塗り薬(副腎皮質ホルモン)が有効です。低濃度のステロイド剤では効果がないので、高濃度の、強い処方薬を使います。

水疱ができるような強い症状になると、どんなに強い塗り薬を使っても、症状をやや和らげることしかできないようです。そのため、飲み薬によってステロイドの全身投与が行われることがよくあります。

健康な人では、特別に治療をしなくても、普通は1~3週間で症状は自然に解消します。ただし、水疱がつぶれたところから細菌に感染すると、抗生物質による治療が必要なことがあります。重症の場合や、痒みが強いときは我慢せず、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

Q.

かぶれ予防のため、できることはありますか?

A.

予防の基本は、原因となる植物を避けることです。ポイズンアイビーは、一つの枝から葉が3枚1組になって生えてくるのが特徴です(イラスト参照)。そういう葉を見つけたら、触らない・触れないように注意してください。

屋外活動をするときは、長袖の服を着るなどして肌の露出を控え、むやみに植物に触らないようにしましょう。帰宅後は、手と肌の露出部分をマイルドな石けん(洗浄力が強過ぎない、皮膚に優しい石けん)で水洗いをします。爪の下も丁寧に洗いましょう。

ポイズンアイビーに直接触らなくても、洋服や、例えば庭仕事の道具に付着したウルシオールでかぶれることもあるようです。帰宅したら洋服を脱いで温水で洗濯し、道具類も忘れずに手入れをしましょう。

 

Q.

ポイズンアイビーに触ってしまったら?

A.

予防策と同じですが、触れた部分をできるだけ早くマイルドな石けんで洗ってください。すぐに洗えなくても、接触から2時間以内であれば、皮膚炎の発症と重症化のリスクを大幅に下げることができます。

注意点としては、洗うときに皮膚をごしごしこすると、かえって皮膚炎を悪化させる可能性があることです。付着物を押し流すように、優しく洗いましょう。また、いったん症状が出た後は、洗っても効果はないようです。

※次回は、ライム病についてお聞きします。

 

1018-Kokoro_Kuwama桑間雄一郎先生
Yuichiro Kuwama, MD

内科専門医師(Board Certified)。東京海上記念診療所院長、マウントサイナイ・アイカーン医科大学内科准教授。東京大学医学部卒業後、腫瘍血管外科勤務を経て来米、ベス・イスラエル病院で内科研修を修了。東大医学部非常勤講師、日本医師会総合政策研究機構・主任研究員などを歴任。著書に「裸のお医者さまたち」(ビジネス社)、「極論で語る総合診療」(丸善出版)など多数。

東京海上記念診療所

Mount Sinai Beth Israel  Japanese Medical Practice
55 E. 34th St., 2nd Fl. (bet. Park & Madison Aves.)
TEL: 212-889-2119

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